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花粉症と林業の関係は?スギ林が多い理由や政府の花粉対策について
「林業って何か花粉症対策をしているの?」
「なぜもっとスギを切ってくれないの?」
このように悩む花粉症の方は多いですよね。
2024年現在では日本人の約4割が花粉症と言われており、政府や林業への早急な花粉症対策が求められています。
そこで今回は、そもそも日本にスギが多い理由や、政府や林業が取り組む花粉症対策などを紹介します。
花粉が減らないことに憤りを感じている方は、ぜひ本記事を読んでで林業×花粉症の課題や取り組みをチェックしてみてください。
- 目次
- 林業と花粉症の関係
1.1そもそもスギ花粉とは
1.2日本にスギ林が多い理由
1.3植えるのにスギを選んだ理由- 花粉症の流行は林業の衰退が原因?
2.1林業の従業者は減少傾向にある
2.2簡単にスギを伐採できない理由- 政府が取り組む花粉症対策の3本柱
- 林業の花粉症対策でよくある質問3つ
4.1「なぜ日本中のスギを切らないの?」
4.2「花粉の少ない苗木ってないの?」
4.3「林業の働き手が増えれば花粉症の人は減るの?」- まとめ
1. 林業と花粉症の関係
スギ林が豊富な山林で仕事をする林業は、花粉とは切っても切れない関係です。
ここからは、そもそもスギ花粉とはどのようなものか、なぜ日本にスギが多いのかなどを紹介します。
1.1.そもそもスギ花粉とは
スギ花粉を放出する雄花は、7月ごろに花粉を形成・11月ごろに成熟します。
雄花は秋〜冬にかけて休眠状態に入り、厳しい寒さにさらされることで覚醒。
覚醒後は花粉の飛散に向けた準備を始め、2〜4月ごろに飛散のピークを迎えます。
引用元:政府広報オンライン
スギ花粉は水を含むことで花粉が膨張し、外壁が割れると内容物が放出される仕組みです。
放出された内容物(花粉)が風に乗って私たちの生活圏内までやってくることで、アレルギー反応を起こして花粉症になります。
1.2.日本にスギ林が多い理由
スギは江戸時代から植えられていましたが、もっとも多く植えられるようになったのは1945年から20年あまりの間です。
第二次世界大戦後、次の3つの理由から日本でスギの植林が急速に進みました。
- 戦争で荒れた国土に緑を増やすため
- 洪水や土砂崩れを防ぐため
- 生活に必要な木材を国民に供給するため
植えてから約20年でスギが花をつけるまで成長し、1970年ごろから一気に花粉症が流行。
海外から木材を安く仕入れられるようになったことや、林業に携わる人の減少が相まって、日本にはスギ林が多く残るようになりました。
1.3.植えるのにスギを選んだ理由
スギは日本の固有樹種で、北海道から九州まで幅広く分布しています。
花粉を出す以外に大きな問題はなく、次の4つのメリットから「加工しやすい木材」として重宝されています。
- 軽い
- 柔らかい
- 成長が早い
- 真っ直ぐ育つ
建築材や家具材などの幅広い用途に利用できるため、戦後の深刻な物資不足においてスギは救世主的存在でした。
ちなみに、現在の日本は森林の約4割が人工林で、人工林の約4割がスギ人工林です。
2.花粉症の流行は林業の衰退が原因?
「花粉症が流行したのは、林業の衰退が原因なんじゃないの?」と考える方もいるでしょう。
ここからは、林業の人手不足に関する問題や、スギをやみくもに伐採できない理由を紹介します。
2.1.林業の従業者は減少傾向にある
林業の従業者は、1980年〜2020年までの間で約70%も減少しています。
下記のグラフを見てわかるように、林業は他の産業より高齢化率も高い傾向です。
引用元:林野庁
林業の人手不足の問題は、業界にとっても花粉症の人にとっても悩ましい問題です。
「スギを切る人が増えれば花粉症も少しはマシになるはずなのに……」と悩む方も多いため、政府がおこなう花粉症対策とあわせて、林業業界もさらに新規雇用に力を入れることが求められています。
しかし実は、上記のグラフを見てわかるとおり、林業は他の産業と比べて若年者率が増加している傾向があります。
林野庁の「緑の雇用」をはじめとした未経験者へのサポートも充実しているため、今後はさらに若者の就業者率UPが期待できるでしょう。
▷関連記事「緑の雇用」とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!
林業の人手不足問題について詳しく知りたい方は、ぜひ下記の記事もあわせてご覧ください。
関連記事▶︎「林業で働く人がいない理由とは?人手不足を解消する2つの取り組みを紹介」
2.2.簡単にスギを伐採できない理由
日本からスギが減らないのは、林業の人手不足だけが問題ではありません。
スギを一気に伐採すると、実は下記のような新たな問題が発生してしまうのです。
- 地球温暖化の進行
- 河川の流量増加による水害
- 土砂崩れのような山腹崩壊
- 切った木材の大量放置
スギの伐採は花粉症対策において急務ですが、はげ山に新たな苗木を植えて成長するまでに数年〜数十年かかります。
苗木が成長する間に上記のような問題が多発すると、それに伴うさらに新たな問題が生じてしまう危険があるのです。
3.政府が取り組む花粉症対策の3本柱
令和5年4月14日、総理大臣官邸では花粉症に関する関係官僚会議がおこなわれました。
そこで話し合われたのは、花粉症を解決するための次の3つの取り組みです。
①発生源対策 |
・スギ人工林の伐採を約5万ha /年→約7万ha /年まで増やす |
②飛散対策 |
・スギ花粉飛散量の予測精度向上を支援する |
③発症・曝露対策 |
・花粉症の治療・相談体制の整備を促進する |
政府は花粉症対策として、上記の「発生源対策」「飛散対策」「発症・曝露対策」の3つを取り組むことを宣言。
10年後までにスギ人工林を2割減少、約30年後には花粉発生量の半減を目指していると発表しています。
参考:環境庁
4.林業の花粉症対策でよくある質問3つ
最後に、林業の花粉症対策でよくある質問を3つ紹介します。
少しでも疑問が解消するよう、花粉症で悩んでいる方はぜひ目を通してみてください。
4.1.「なぜ日本中のスギを切らないの?」
先にも紹介したとおり、スギを一気に切ると下記のような問題が発生してしまいます。
- 地球温暖化の進行
- 河川の流量増加による水害
- 土砂崩れのような山腹崩壊
- 切った木材の大量放置
スギの大量伐採は山林や地域の環境破壊にもつながるため、伐採や植林は計画的におこなう必要があります。
4.2.「花粉の少ない苗木ってないの?」
日本では、次の2つが「花粉の少ないスギ苗木」として開発されています。
- 少花粉スギ……ほとんど花粉を出さない品種
- 無花粉スギ……花粉をまったく出さない品種
国立研究開発法人森林研究・整備機関は、平成8年から令和3年度末までの間に147品種の少花粉スギの開発に成功しています。
令和3年度までに約1,512万本の少花粉・無花粉スギ苗木を生産し、令和15年度までに全スギ苗木の約9割を占める計画も進められています。
参考:国立研究開発法人森林研究・整備機関
参考:林野庁
4.3.「林業の働き手が増えれば花粉症の人は減るの?」
林業で働く人が増えれば、すぐに花粉症の人が減るわけではありません。
ここまでお読みいただいた方はわかるように、花粉症の原因となるスギを一気に伐採するのは難しいためです。
しかし林業で働く人が増えれば、少花粉・無花粉スギの植林が今よりスムーズに進められます。
スギの伐採スピードを早められる可能性も高まるため、少しでも早く花粉の少ない環境へと近づける期待は持てるでしょう。
関連記事▶林業に向いている人の特徴9選!よくある質問や一日の仕事サイクルも紹介
5.まとめ
林業と花粉症は、絶妙なバランスで成り立っていることがわかりました。
スギを一気に切り倒したい方が多い一方で、樹木が自然災害や温暖化から私たちを守っていることもまた事実。
林業や政府の長期的な取り組みには、今後も注目していく必要がありそうです。
「少しでも花粉症対策を早く進めたい!」という方は、林業への就職・転職も一度検討してみてください。
土が花粉を吸着する山林では、実は都会より花粉症症状が出にくいとの情報もあります。
今花粉症で悩んでいる方も、興味があればぜひ一度林業求人サイトRINDOを覗いてみてくださいね。
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