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【高性能林業機械】林業を支える重機の種類と資格を完全ガイド
「林業の仕事に興味があるけど、重機の操作は難しそう」
「林業で使われる重機って、どういった種類があるんだろう」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
林業重機は、現場には欠かせない存在となっています。
本記事では、林業における重機の種類から必要な資格や取得方法、キャリアアップの可能性まで詳しく解説します。
- 目次
- 林業の現状と重機の役割
- 高性能林業機械の保有状況
- 林業で使われる重機の種類と特徴
3.1 フェラーバンチャ(伐倒・集積)
3.2ハーベスタ(伐倒・枝払い・玉切り・集積)
3.3プロセッサ(枝払い・玉切り)
3.4スキッダ(集材)
3.5フォワーダ(集材)
3.6タワーヤーダ(集材)
3.7スイングヤーダ(集材)
3.8グラップル- 林業で重機を扱うために必要な資格
4.1 小型移動式クレーン運転講習
4.2玉掛け技能講習
4.3はい作業主任者技能講習
4.4不整地運搬車技能講習
4.5車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用および掘削用)運転技能講習
4.6車両系林業機械特別教育- 緑の雇用を活用して資格取得へ
- 林業重機オペレーターのキャリアアップ
- 「林業 重機」についてよくある質問
7.1林業重機を扱う企業の探し方は?
7.2重機の資格がなくても林業で働ける?- まとめ
1.林業の現状と重機の役割
現在、日本の森林面積は国土の約7割を占めており、世界有数の森林国です。国内の森林資源が本格的な利用期を迎える中、担い手不足や高齢化により、適切な森林管理が難しい状況にあるなど、さまざまな課題に直面しています。
担い手不足や高齢化が進む中、林業現場では重機の役割が重要になっています。
重機の導入によるおもなメリットは、以下のとおりです。
- 作業効率の向上
- 労働負担の軽減
- 安全性の向上
- 生産性の向上
高性能林業機械の普及により、作業効率や安全性が向上し若手や女性の参入促進とともに、伐採から運搬まで一貫作業が可能となり、生産性向上に貢献しています。
さらにGPSやドローンと連携した精密な施業が可能となり、より効率的で持続可能な林業経営が期待できます。
2.高性能林業機械の保有状況
林野庁の統計によると、全国の高性能林業機械の保有台数は年々増加し、令和4年(2022年)時点で12,601台です。10年前の平成24年(2012年)の5,678台と比べて約2.2倍に増加しました。とくにハーベスタやフォワーダ、プロセッサなどの作業効率が高い機械の導入が進んでいます。
重機の普及と利用拡大が進む一方で、重機を使いこなせるオペレーターの確保や教育訓練の充実が課題の1つです。そのため林業事業体や自治体では、操作技術を習得するための研修や講習会の実施が求められています。
3.林業で使われる重機の種類と特徴
林業現場で活躍する重機について、種類や特徴について詳しくみていきましょう。
- フェラーバンチャ(伐倒・集積)
- ハーベスタ(伐倒・枝払い・玉切り・集積)
- プロセッサ(枝払い・玉切り)
- スキッダ(集材)
- フォワーダ(集材)
- タワーヤーダ(集材)
- スイングヤーダ(集材)
- グラップル
では、解説していきます。
3.1 フェラーバンチャ(伐倒・集積)
フェラーバンチャは、立木を効率的に伐採し集められる林業機械です。
大型のアームで木をつかんで一気に切断するため、危険な伐倒作業を安全に進められます。人力では時間のかかる作業が、1台で短時間で作業可能です。
3.2.ハーベスタ(伐倒・枝払い・玉切り・集積)
伐採から枝払い、木材を一定の長さに切る玉切り作業まで、1台でおこなえる林業機械です。木を切るだけでなく加工まででき、作業効率向上に役立ちます。複数の作業をこなせるため、人手不足の現場でも頼りになる機械です。
3.3.プロセッサ(枝払い・玉切り)
伐採された木材の枝払いと玉切り、測尺玉切りをおこなう機械です。またグラップルを使用して、玉切りした材の集積もおこなえます。国内で多く普及している高性能林業機械です。
3.4.スキッダ(集材)
伐採した木材を集積場所まで運搬する集材専用機械です。
3.5.フォワーダ(集材)
木材を運搬するための機械です。ホイール式やクローラ式などの種類があり、さまざまな地形に対応。大量の木材を効率よく運び出せます。
3.6.タワーヤーダ(集材)
おもに急斜面で活躍する架線集材機械です。タワー状の支柱を立て、ワイヤーロープを張って運搬します。架線張りや撤去が簡単にできるため効率的に作業可能です。
3.7.スイングヤーダ(集材)
油圧ショベルなど建設機械に集材用のウィンチを搭載している集材機械です。機械のアームを支柱として利用します。
主索を用いない簡易索張方式に対応しており、旋回可能なので、さまざまな方向からの集材作業に対応できます。
また設置場所の自由度も高く、限られたスペースでも効率的な作業が可能です。
3.8.グラップル
油圧ショベルなどの建設機械に取り付けるアタッチメントです。木材の積み込みや仕分け、撤去作業などが効率的におこないます。林業現場では、必須装備の1つです。
※用語説明
- 伐倒:立木を切り倒す作業
- 枝払い:伐倒後の木の枝を切り落とす作業
- 玉切り:木材を一定の長さに切断する作業
- 集材:伐倒した木材を集積場所まで運ぶ作業
- 集積:伐倒・集材した木材を一箇所にまとめる作業
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4.林業で重機を扱うために必要な資格
林業の現場で重機を操作するには、それぞれの機械に応じた資格を取得する必要があります。また作業を安全に進めるために、講習や特別教育の受講も必要です。
必要な資格講習や特別教育は、おもに以下の内容があります。
- 小型移動式クレーン運転講習
- 玉掛け技能講習
- はい作業主任者技能講習
- 不整地運搬車技能講習
- 車両系建設機械運転技能講習
- 車両系林業機械特別教育
それぞれみていきましょう。
4.1.小型移動式クレーン運転講習
小型移動式クレーン運転講習は、5トン未満のクレーン車を操作するために必要な講習です。
トラックの荷台にクレーンがついたトラッククレーンや、小型のクローラークレーンの操作が可能になります。講習内容は学科と実技がありますが、保有資格や業務経験により、受講時間が異なります。
4.2.玉掛け技能講習
玉掛け作業者講習は、クレーンやワイヤーロープを使用する際に受講が必要です。
1トン以上の荷物を扱う場合は、講習受講後に学科試験と実技試験を受け、合格すれば「玉掛け技能講習修了証」がもらえます。1トン未満の場合は、特別教育を受けるだけで作業可能です。
4.3.はい作業主任者技能講習
作業現場で、高さ2メートルを超える袋や箱などの荷物を積み上げたり、取りおろしたりする「はい作業」の安全管理に必要な講習です。林業では、おもに切った丸太を積み上げる作業が当てはまります。
はい作業をおこなう場合、現場ごとに作業主任者を選び、指揮しなければなりません。講習は、3年以上従事した経験者であれば受講可能です。
4.4.不整地運搬車技能講習
不整地運搬車技能講習は、最大積載荷重が1トン未満の不整地運搬車の運転に必要です。林業の現場では、林業道を開設する際に活躍します。
保有資格や運転業務の経験により、受講コースが異なります。
4.5.車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用および掘削用)運転技能講習
車両系建設機械運転技能講習は、油圧ショベルやホイールローダーなど、3トン以上の重機を操作するために必要な講習です。林業における木材の運搬作業はもちろんのこと、土木作業など幅広い現場で活用できます。
保有資格や業務経験により、受講時間が異なります。
4.6.車両系林業機械特別教育
車両系林業機械特別教育は、高性能林業機械を使用するために必要な特別教育です。「走行集材機械」、「伐木等機械」、「簡易架線集材装置または架線集材機械の運転の業務」の3種類にわかれており、取り扱う機械によって内容が異なります。
- 走行集材機械
フォワーダや集材車などの機械に関する知識などを学ぶ特別教育です。講習では、学科と実技で走行技術や集材方法について学びます。- 伐木等機械
フェラーバンチャやハーベスタ、プロセッサといった伐木機械について学ぶ特別教育です。伐木技術や機械の特性、安全管理のポイントなどを学科と実技を通して学びます。- 簡易架線集材装置または架線集材機械の運転の業務
タワーヤーダやスイングヤーダといった簡易架線集材装置の集材機や架線集材機械に関する知識などを、学科と実技で学びます。
5.緑の雇用を活用して資格取得へ
未経験者が林業に挑戦する際、どのようにスキルや資格を取得していこうか迷う方も多いでしょう。そこで心強い味方となるのが国が実施している「緑の雇用」制度です。
緑の雇用では、研修プログラムが用意され、未経験でも働きながら必要なスキルや資格を取得していきます。
取得可能な資格は、下記のとおりです。
1年目
普通救命講習
刈払機取扱作業者
伐木等の業務(チェーンソー作業)
玉掛け技能講習2年目
不整地運搬車運転技能講習
荷役運搬機械によるはい作業従事者
機械集材装置の運転業務3年目
簡易架線集材装置の運転業務
伐木等機械の運転業務5年以上
造林作業の作業指揮者
はい作業主任者
地山掘削および土止め支保工作業主任者
「緑の雇用」の研修を受けるためには、制度の対象となっている森林組合や林業会社などの「緑の雇用認定林業事業体」での雇用が条件です。
「〇〇県 林業認定事業体」と検索すれば、各都道府県の事業体が一覧で確認できます。林業専門サイト「RINDO」では求人ページで、下記のように、緑の雇用に対応している事業体を確認できますので、ぜひ活用ください。
緑の雇用について、詳しくは「緑の雇用とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!」で解説していますので、こちらの記事も参考にしてください。
6.林業重機オペレーターのキャリアアップ
林業現場において重機の操作ができることで、キャリアアップも目指せます。
複数の重機を操作できれば、現場での業務範囲が大きく広がり、現場になくてはならない存在として評価されるでしょう。
さらに技術指導者として若い世代の育成や管理職へのステップアップも可能です。作業計画の立案から安全管理まで、現場全体を管理する立場としても活躍できます。チームのリーダーとして、作業の効率化や安全性の向上に貢献することで、より大きな責任とともにやりがいも増していく仕事です。
また十分な経験とスキルを積んだ後は、独立して起業するという選択もあります。成長に応じて、さまざまな可能性が広がる職種といえるでしょう。
「【実例あり】2024年林業の平均年収!収入アップの方法・独立について徹底解説!」では、林業での年収や独立後についても触れていますので、参考にしてください。
7.「林業 重機」についてよくある質問
「林業 重機」についてよくある質問をまとめました。
7.1 林業重機を扱う企業の探し方は?
どのような重機を保有しているかは、会社や事業体の作業内容により異なります。保有する重機の種類によって、必要な資格やスキルも変わってくるので、ホームページなどで事前確認がおすすめです。
「RINDO」では、企業や求人情報に保有する重機の種類が記載されています。さらに作業内容などの職場の雰囲気の写真なども載っていますので、企業のホームページやSNSと合わせてチェックしてみましょう。
現場の雰囲気や設備規模をつかみ、実際に働くイメージもつきやすくなりますよ。
7.2 重機の資格がなくても林業で働ける?
重機の資格がない未経験者でも、仕事を始められます。多くの会社や事業体では、独自で研修プログラムを用意したり、国の取り組みである「緑の雇用」制度を活用しています。
林業では未経験者も大歓迎の会社も多いので、気になる会社には積極的にアプローチしましょう。林業への転職をどのように進めたらよいか迷う場合は、林業専門サイト「RINDO」の活用がおすすめですよ。
8.まとめ
今回は林業を支える重機についてみていきました。
林業現場での重機の存在は、担い手不足や高齢化が進む日本林業にとって大きな役割を果たしています。
高性能林業機械を使いこなすためには資格取得や技術習得が必要ですが、緑の雇用制度などを活用すれば未経験からでも始められます。
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