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2026.02.26 コラム

【簡単・図解あり】水源涵養量とは?仕組みや計算方法をわかりやすく解説

水源涵養量」という言葉を目にしたけれど、正しい読み方や意味がわからず困っていませんか?

今回は、水源涵養量の読み方から基本的な意味、水源涵養機能との違いまでわかりやすく解説します。

森林が持つ「水を育む力」についての理解を深めて、林業や環境保全活動などの実務に役立てましょう。

\水道から生活水が出てくる/
\その“根本”を守るのが「林業」の仕事/
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  • 目次
      1. 水源涵養量とは?
        1-1|水源涵養量の読み方
        1-2|水源涵養機能との違い
        1-3|水源涵養機能の定義
      2. 水源涵養機能の仕組み【簡単3ステップ】
        2-1|葉や枝が雨水を受け止める
        2-2|雨水がゆっくり地面にしみ込む
        2-3|蓄えられた雨水が川へ流れる
      3. 水源涵養量の計算方法
        3-1|基本の計算方法
        3-2|具体的な数値例
        3-3|水源涵養率の計算方法
      4. 水源涵養量に関する企業の取り組み事例
      5. 水源涵養量(機能)についてよくある質問
        5-1|水源涵養量と地下水涵養量の違いは?
        5-2|水源涵養機能が低下するとどうなる?
        5-3|水源涵養量は増やせるの?
        5-4|水源涵養林とは?
      6. まとめ

水源涵養量とは?

水源涵養量とは

水源涵養量とは、簡単にいうと「森林の土壌に蓄えられた雨水が、どれくらい川に流れるかをあらわす数値」のことです。

森林には、水を蓄える力流す力があり、これを水源涵養機能と呼びます。

この機能によって森林の土壌にどれくらい水がたまり、川へ流れ出るのかをあらわす数値が「水源涵養量」です。

水源涵養量の読み方

水源涵養量は「すいげんかんようりょう」と読みます。

そして、涵養(かんよう)には「水が自然にしみ込むように、ゆっくりと養い育てる」という意味があります。

森林が長い時間をかけて水を蓄え、育んでいく様子をあらわした言葉です。

水源涵養機能との違い

水源涵養機能とは、簡単にいうと「森林が水を育む働きそのもの(=仕組み)」のこと。

一方、水源涵養量は「その働きによって実際に蓄えられる水の量(=数値)」のことです。

両者の具体例をみてみましょう。

水源涵養機能の具体例 土壌の保水力、雨水の浸透メカニズムなど
水源涵養量の具体例 年間〇〇トン、〇〇立方メートルなど

たとえば「この森林は水源涵養機能が高い」というと、その森林に優れた貯水能力があることをあらわせます。

一方で「この森林の水源涵養量は年間5,000トンです」というと、その森林に蓄えられている水の量を具体的な数値で示せるようになります。

水源涵養機能の定義

水源涵養機能には、国が定めた明確な定義があります。

林野庁の資料に記載されている水源涵養機能の定義は以下のとおりです。

「森林の存在が川の流量や水質を人類社会にとって都合が良いように変えてくれるはたらきを森林の水源涵養機能という」

引用:林野庁「森林の水源涵養機能に係る解説資料」

上記を簡単にまとめると、水源涵養機能には「洪水緩和」「水資源貯留」「水質浄化」の3つの働きがあるということです。

このような働きがあることから、森林は「緑のダム」とも呼ばれています。

水源涵養機能の仕組み【簡単3ステップ】

水源涵養機能 仕組み

水源涵養機能の仕組みは、次の3つのステップで簡単に説明できます。

  1. 葉や枝が雨水を受け止める
  2. 雨水がゆっくり地面にしみ込む
  3. 蓄えられた水が川へ流れる

それぞれ詳しくみていきましょう。

ステップ① 葉や枝が雨水を受け止める

水源涵養機能 仕組み

森林に雨が降ると、まず樹木の葉や枝が雨水を受け止めます

雨水の勢いを弱め、地面が削られるのを防ぐ涵養機能の土台づくりのステップです。

ステップ② 雨水がゆっくり地面にしみ込む

水源涵養機能 仕組み

地面に到達した雨水は、落ち葉の層(腐植層)を通って、ゆっくりと土壌の隙間(土壌層)へとしみ込んでいきます

森林の土壌には樹木の根がつくった無数の隙間があり、水を蓄えるスポンジのような役割を果たしているのです。

ステップ③ 蓄えられた雨水が川へ流れる

水源涵養機能 仕組み

土壌に蓄えられた雨水は、数週間から数か月ほどかけて、少しずつ川へと流れていきます

人工的なダムとは違い、森林は維持管理のコストをかけずに、私たちの生活に欠かせない“水”を育んでくれているのです。

水源涵養量の計算方法

水源涵養量 計算

ここでは、水源涵養量の基本の計算方法を、実際の数値例を交えながらわかりやすく解説していきます。

「森林には、実際にどれくらいの水が蓄えられているのか」を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

基本の計算方法

水源涵養量の基本的な計算式は、次のとおりです。

降水量ー蒸発散量ー直接流出量=水源涵養量

それぞれの単語の意味をみていきましょう。

降水量:雨や雪の総量

降水量は、その地域に降った雨や雪の総量です。

気象庁のデータや、地域の観測所データなどを参考にして調べられます。

蒸発散量:蒸発する水分の総量

蒸発散量は「植物の葉から蒸発する水分」と「地面から蒸発する水分」の総量です。

蒸発散量は植物の種類や季節などによって変わるため、森林の状態にあわせた推測が必要になります。

直接流出量:川へ直接流れる水の量

直接流出量は、森林から川へ直接流れる水の総量です。

土壌にしみ込んだ水ではなく、土の中を通らずにすぐさま流れる水のことを指します。

これらをまとめると、水源涵養量は「森林に降ってきた雨水」から「蒸発した水」と「土の中を通らなかった水」を差し引くことで求められます。

具体的な数値例

具体的にイメージしやすくするために、ここでは「仮想の森林A」をモデルに水源涵養量を計算してみましょう。

森林Aは1ヘクタール(10,000㎡)の広さがあり、加えて次のようなデータが得られたと仮定します。

  • 降水量:2,000mm
  • 蒸発散量:700mm
  • 直接流出量:300mm

この場合、水源涵養量は次の計算式で求められます。

2,000mmー700mmー300mm=1,000mm(水源涵養量)

1ヘクタールの広さで1,000mm(1m)の水が蓄えられるということは、体積に換算すると次のようになります。

1,000mm(1m)×10,000㎡=10,000㎥(体積)

つまり、森林Aには10,000トン(10,000㎥)もの水が蓄えられていることになるのです。

10,000トンを25メートルプールに置き換えると、約20杯分に相当します。

これほど大量な水を、森林Aは地域の水資源として涵養しているのです。

水源涵養率の計算方法

水源涵養量とよく似た言葉に「水源涵養率」というものがあります。

水源涵養率とは、簡単にいうと「降った雨のうち、何%が土壌に蓄えられているか」をあらわす指標です。

計算式もみておきましょう。

水源涵養率=(水源涵養量÷降水量)×100

先ほどの森林Aのデータを使って、水源涵養率を計算してみます。

水源涵養率=(1,000mm ÷ 2,000mm)×100=50%

つまり、森林Aでは降った雨の50%が土壌に蓄えられているということです。

森林の手入れが不十分だと、雨水を蓄えるための土壌が痩せてしまいます。

水源涵養率を下げないようにするためには、林業や環境保全活動で間伐(木々の間引き)などの手入れをおこない、土壌を健全な状態に保つことが欠かせません。

水源涵養量に関する企業の取り組み事例

水源涵養機能

SDGsやESG経営への関心が高まり、多くの企業が「水源を守る森づくり」に取り組んでいます。

その代表的な企業が、大手清涼飲料水メーカーのサントリーです。

「水と生きる」というメッセージを掲げるサントリーは、地下水をとても大切な資源と考えています。

地下水は、会社にとって“生命線”ともいえる存在です。

そこで同社は、2003年から「天然水の森」活動を継続

「天然水の森」活動は、工場の水源涵養エリアの森林を整備し、水源を育てる取り組みです。

「地下水は森で育まれる」という考えのもと、国内工場でくみ上げる地下水の2倍以上の水を育てることを目標にしています。

具体的な目標 ・森林の水源涵養機能を高める
・生きものが豊かな森をつくる
・洪水や土砂災害に強い森をつくる
・CO2を多く吸収できる森をつくる
・自然とふれあえる美しい森をつくる
活動の範囲 16都府県・26か所
活動の規模 12,000ヘクタール以上
その他・備考 5か所が環境省の「自然共生サイト」に認定
(※単一企業として最多)

※2025年7月時点の情報

同社は、行政や森林所有者と長期的な協定を結び、間伐や生きものの調査をおこないながら、計画的に森林を整備しています

森を守り育てることは、企業の持続的な成長にもつながります。

そして、その森で育った地下水は、私たちの飲み水として生活に還元されているのです。

参考:サントリー 天然水の森(水源涵養/生物多様性の再生)

水源涵養量(機能)についてよくある質問

水源涵養量 よくある質問

最後に、水源涵養量(機能)についてよくある質問をご紹介します。

Q1. 水源涵養量と地下水涵養量の違いは?

地下水涵養量は、水源涵養量の一部です。

水源涵養量は「森林に蓄えられてから川へ流れ出る雨水の量」を指します。

一方で、地下水涵養量は「水源涵養量のなかでも、地下水として蓄えられる雨水の量」を指す言葉です。

Q2. 水源涵養機能が低下するとどうなる?

水源涵養機能が低下すると、地域の水環境に以下のような悪影響が及ぶ可能性があります。

  • 洪水リスク:雨水が一気に川へ流れ込む
  • 水不足:生活用水の確保が難しくなる
  • 水質悪化:ろ過できず川の水が濁る

こうした問題を防ぐためには、林業や環境保全活動による森林の適切な管理が欠かせません

間伐・植林・病害虫対策などで森林を健全に維持できれば、雨水がきちんと土壌に届き、水源涵養機能を正常に保ちやすくなります。

Q3. 水源涵養量は増やせるの?

水源涵養量は、森林の管理次第で増やすことが可能です。

具体的な方法としては、以下のような「間伐(木々の間引き)」や「広葉樹の導入」などが挙げられます。

間伐 混みあった樹木を間引く

残された樹木が深く根を張る

土壌の隙間が増える

水を蓄える容量が増える
広葉樹の導入 森林に広葉樹を植える

落ち葉が分解される

腐植層が豊かになる

水を吸収する力が高まる

間伐をすると、残された樹木が太く成長するだけでなく、太陽の光が地面に届いて下草や低木が育ちやすくなります。

土壌がフカフカになり貯水機能が上がることで、水源涵養量が安定しやすくなるのです。

また、針葉樹だけの森林に広葉樹を混ぜると、腐植層が豊かになる過程で土壌構造が改善されていくこともわかっています。

針広混交林を目指すことは、水源涵養量の向上にもつながっているのです。

▶︎関連記事:広葉樹の活用方法4選!針葉樹との違いや林業での活用ポイントも解説

Q4. 水源涵養林とは?

水源涵養林(すいげんかんようりん)とは、水源涵養機能をとくに発揮させることを目的に管理されている森林です。

保安林(※)の一種として指定されることが多く、伐採や開発に制限がかけられます。

たとえば、ダムの上流域は水源涵養林に指定されやすく、私たちの飲み水を守るために特別な管理が求められえるエリアです。

私たちの生活に当たり前にある「蛇口をひねれば出てくる水」の多くは、こうした水源涵養林から届けられています。

※保安林=農林水産大臣(または都道府県知事)によって指定される森林

まとめ|水源涵養量=森が育み、人の手で守る水資源

水源涵養量

森林には、水を育む「水源涵養機能」があります。

その結果としてあらわれる実際の水の量が「水源涵養量」です。

この2つを分けて理解することで、森林の価値をわかりやすく説明できるようになるでしょう。

しかし、こうした水源涵養機能を維持・向上させるためには、現場に入って森林を管理する人の力が欠かせません

その中心にあるのが「林業」という仕事です。

林業には地域の水源を守り、洪水や渇水のリスクを減らし、きれいな水を次の世代に引き継ぐ大切な使命があります。

森林を守る仕事に少しでも興味がある方は、思いきって林業の世界に飛び込んでみませんか?

「自然の中で働きながら、社会に必要とされる仕事がしたい」

このような思いを持つ方(仲間)を、私たちは待っています。

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