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2025.07.30 コラム

日本の林業の展望はどうなる?5つの取り組みと課題を徹底解説

日本の林業に明日はない
林業は儲からないからやめとけ

このような言葉を聞いて、林業への就職・転職を不安に感じていませんか?今後の展望がどうなるかわからない業界へ飛び込むのは、簡単には決心がつけられないものです。

そこで今回は、日本の林業の現状や課題展望を明るく照らす5つの取り組みについて徹底解説します。

林業に興味があるけど「未来はない」「オワコン」と言われて不安な方は、この記事で“最近の林業に起きている明るい変化”をチェックしてみてください。

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  • 目次
      1. 日本の林業に未来はない?今後の展望について
      2. 日本の林業が抱える5つの課題
        2-1|働き手の減少と高齢化が進んでいる
        2-2|国産材価格が低迷し輸入材に頼っている
        2-3|森林の管理や手入れが足りていない
        2-4|自然災害への対策が遅れている
        2-5|経営体制が古く生産性が低いまま
      3. 林業の展望を照らす!現状を変える5つの取り組み
        3-1|若者・移住者・女性などの新たな人材参入
        3-2|脱炭素社会に向けた木材利用の促進
        3-3|持続可能な“自伐型林業”の広がり
        3-4|スマート林業で作業の効率化を実現
        3-5|緑の雇用をはじめとした国の人材育成サポート
      4. 展望が明るい林業に就職・転職するメリット
      5. 林業の展望についてよくある質問
        5-1|日本の林業が衰退した理由は?
        5-2|林業はなぜ人手不足なの?
        5-3|林業の年収は?今からでも食べていける?
      6. まとめ

日本の林業に未来はない?今後の展望について

林業 展望

結論からいうと、林業の展望は決して暗いものではありません。むしろ今、次の4つの要因から「これからの時代に必要な産業」として注目されています。

  • 森林の環境貢献効果の再評価
  • 国産材の需要が上昇
  • スマート林業でコスト&人員削減
  • 国のバックアップ体制の強化

地球温暖化対策には、CO₂を吸収する森林の存在が欠かせません。その森林を守り育てる林業は、今や世界中が注目するホットな産業です。

また、林業の課題である「人手不足」「木材価格の低迷」「森林の管理不足」などの問題も、スマート林業の導入や国のバックアップなどにより解消されつつあります

この動きが続けば、20年後の林業は「環境を支える」「暮らしを守る」「しっかり儲かる」“高収益産業”として復活する可能性が高く、未来にこそチャンスが広がる産業なのです。

日本の林業が抱える5つの課題

日本の林業が抱える問題

日本の林業の展望は明るくなってきているものの、長年にわたり積み重なった問題がすべて解消されたわけではありません。

ここでは、今の林業が抱えている5つの課題についてみていきましょう。

①働き手の減少と高齢化が進んでいる

日本の林業では、働き手の減少と高齢化が深刻な問題となっています。

林野庁によると、1980年に約14万6千人いた林業の働き手は、2020年には約4万4千人にまで減少。40年の間で、約10万2千人(約70%)も働き手が減ってしまっています

さらに、働き手の平均年齢は2015年時点で52.4歳と、全産業平均の46.9歳を上回っています。65歳以上が占める割合も25%を超え、なんと4人に1人がシニア層という現状です。

参考:林野庁「第1部 第 III 章 第1節 林業の動向(4)」

②国産材価格が低迷し輸入材に頼っている

日本の林業は、国産材の価格の低さや、輸入材に頼りすぎていることも問題となっています。

林野庁によると、日本の木材自給率は2025年時点で43%しかありません。国内で使われている木材の半分以上は、外国からの輸入材に頼っているのです。

なかでも、家を建てるための住宅用建材には、価格の安い輸入材がよく使われています。このまま輸入材に頼りすぎると、国産材の価格はどんどん下がってしまうでしょう。

③森林の管理や手入れが足りていない

日本の国土の約67%(※)を森林が占めていますが、適切に管理されている森林はごく一部です。森林が適切に管理されないと、木々が密集しすぎて次のような問題が発生してしまいます。

  • 太陽光が地面まで届かない
  • 背の低い下草が生えなくなる
  • 土が水を溜めにくくなる
  • 土砂災害&強風被害のリスクが高まる

日本の森林管理が行き届かないのは「山の所有者の高齢化」「管理費用を回収できない収益性の低さ」「所有者が遠くに住んでいる(または所有者不明)」などが主な原因です。

森林を健全に保つためには、高齢の所有者に代わって森を守る人材(後継者)確保や、険しい山でも手入れしやすくなる技術導入などが求められます。

※参考:農林水産省「日本の森林面積について」

④自然災害への対策が遅れている

近年多発する自然災害に対して、林業での備えが十分とはいえない状況が続いています。

たとえば、2018年の西日本豪雨では、豪雨による大規模な土砂崩れ・倒木・洪水などが発生。森林の防災機能が十分に発揮されず、広島・岡山・愛媛などで237名(※)の命が失われる甚大な被害を受けました。

また、被害を受けた森林の復旧作業遅れも課題となっています。植林や倒木の撤去には多くの人手と時間が必要ですが、林業の長きにわたる働き手不足により復旧が遅れがちです。

※参考:内閣府防災情報「令和元年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-1 平成30年7月豪雨(西日本豪雨)災害」

⑤経営体制が古く生産性が低いまま

日本の林業は古くからの経営手法を続けているところが多く、今の時代にあった経営改革があまり進んでいません。業務を効率化するための最新技術(ITやAIなど)の導入も、ほかの業界と比べて遅れている状況です。

経営体制が古いままである理由の1つは、日本の林業を営んでいる多くが「家族経営」や「小規模事業体」ということ。1つひとつの作業が小規模なため、大規模経営と比べると、どうしても生産性が低くなってしまいます。

林業で生産性をあげるためには、ドローンや高性能林業機械などをフル活用した「スマート林業」の導入が近道です。

しかし、スマート林業の導入には多額のコストがかかるため、多くの経営体が“やりたくてもできない”状況が続いています。

関連記事:注目のスマート林業とは?代表的な5つの技術と導入のポイントを解説

林業の展望を照らす!現状を変える5つの取り組み

林業 取り組み

日本の林業にはまだまだ多くの課題がありますが、現状を変えるための取り組みも次々と始まっています。

ここでは「林業はオワコン」という固定概念をひっくり返し、展望を明るく照らす5つの取り組みについてみていきましょう。

①若者・移住者・女性などの新たな人材参入

林業界に新たな風を吹き込んでいるのが、若者・移住者・女性などの「これまでとは異なる、さまざまな背景をもつ人材」の参入です。

実は林業は、2000年(平成12年)くらいから若者の参入が増加傾向にあります。2003年度から林野庁の「緑の雇用」制度も始まり、全国の若者・移住者が、未経験からでも林業にチャレンジしやすい環境が整ってきているのです。

また、林野庁では林業に興味がある女性への支援も積極的におこなっています。女性同士で気軽に学び交流できる「森女ミーティング」や、女性リーダーの育成セミナーなどがその一例です。

このような働きかけにより参入した新たな人材は、これまでの林業にはない自由なアイデアと働き方で、業界の若返りと活性化に貢献しています。

②脱炭素社会に向けた木材利用の促進

地球温暖化対策への関心が高まるとともに、森林のもつCO₂吸収機能が見直されています。2016年に発効されたパリ協定以降、脱炭素社会の実現に向けて「国産木材を使うことが、CO₂の削減につながる」という認識が、世界中で広がってきているのです。

たとえば、日本では2021年に「木材利用促進法(脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律)」が施行。公共建築物だけでなく、民間建築物にも木材の利用が促進されるようになりました。

国産材を積極的に使うようになったことで「CO₂排出量の削減」「国産材価格の向上」「地域経済の活性化」などに追い風が吹くように。2024年には森林環境税の徴収も始まり、市町村が森林整備に取り組むための財源も確保されています。

関連記事:森林環境税とは?内容や仕組み、課題までわかりやすく解説!

③持続可能な“自伐型林業”の広がり

大規模経営とは異なるアプローチとして、特定の地域に根ざした「自伐型林業」が注目を集めています

自伐型林業とは、山の所有者が自分で(または少人数で)森林を管理する経営体制のこと。木を切る木材生産以外にも、きのこ栽培や森林体験ツアーなど、地域に根ざした森林ビジネスを組み合わせて林業を活性化させています。

この自伐型林業の広がりにより、山の所有者や少人数での小規模な森林管理が可能に。森林の手入れ不足や自然災害対策などにも即座に対応できるようになってきています。

④スマート林業で作業の効率化を実現

林業に抱かれている「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージは、スマート林業の導入により払拭されつつあります

スマート林業とは、簡単にいうと「AIやドローンなどの最新技術を取り入れた、林業の課題解決を目指す取り組み」のこと。重労働や危険な作業を機械に代わりにやってもらうことで、林業界に次のようなメリットをもたらしています。

  • 作業員の負担が減る
  • 労働災害が減る
  • 人手不足をカバーできる
  • 作業コストを削減できる など

スマート林業を導入すると、急斜面での事故リスクを減らせたり、3人必要だった作業が2人でできるようになったりする嬉しい効果があります。

作業を効率化することで作業員の負担が減り、3Kのイメージ払拭や人手不足の解消が実現しているのです。

関連記事:スマート林業の導入事例5選|効果やデメリットまでわかりやすく解説

⑤緑の雇用をはじめとした国の人材育成サポート

国産材価格が低迷し輸入材に頼っている」の見出しで「日本の木材自給率は、2025年時点で43%しかない」とご紹介しました。しかし実は、2002年には過去最低の18.8%にまで落ち込んでいたのです。

これに危機感を覚えた日本政府は、翌年2023年に、林業の新規就業者を対象とした人材育成プログラム「緑の雇用」制度を導入。

緑の雇用の実施により、林業経営体に採用された新規就業者は、働きながら実践的な研修プログラムを受けられるようになりました

このような取り組みにより、林業の新規参入のハードルが以前よりぐっと低いものに。未経験からでも始めやすく、林業でも十分なスキルアップ・キャリアアップが可能になったのです。

展望が明るい林業に就職・転職するメリット

南都留森林組合

画像提供:南都留森林組合

大変なこともある林業ですが、実は就職・転職するメリットもたくさんあります。未経験から林業を始めた人でも感じられるメリットは次の4つです。

  • 健康的な生活を送れる
  • 職場のストレスが少ない
  • 日本の美しい四季に癒される
  • 自然のなかで森林浴ができる

山林で働く林業は、作業者の安全のために「太陽のリズム」に合わせて作業スケジュールを組みます。朝日と一緒に目覚めて、日没に合わせて仕事を終えるのが、林業の基本のスケジュールです。健康的な生活を送りたい方にとって、魅力的な環境でしょう。

また、都会での接客業や営業職などと比べて、林業は人とのコミュニケーションが控えめな職種です。職場での対人ストレスが少ないため、都会から田舎に“林業移住”をする人も少なくありません

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関連記事:【体験談】林業のやりがい&魅力を紹介!大変なことも4つ解説

林業の展望についてよくある質問

林業 展望 よくある質問

最後に、林業の展望についてよくある質問をご紹介します。

Q1. 日本の林業が衰退した理由は?

日本の林業が衰退してしまった主な理由は、1964年以降の「木材輸入の自由化」が挙げられます。安価な外国産木材を大量に輸入することで国産材の価格が急落し、多くの林業事業体で経営が成り立たなくなってしまったのです。

さらに、厳しい経営状況が続くことで、林業従事者もどんどん減少傾向に。管理が行き届かない森林は荒廃し、さらに人手が必要な負のスパイラルに陥ってしまったのです。

Q2. 林業はなぜ人手不足なの?

林業が人手不足に陥っている要因は、主に次の3つが挙げられます。

  • 若手人材が定着しにくい
  • 新規雇用のハードルが高い
  • ベテラン層がリタイアしている

山で作業をする林業は体力的にハードなことが多く、若手人材が定着しにくい傾向があります。「危険」「キツそう」というマイナスイメージから新規雇用のハードルも高く、気軽に就職・転職をしにくいという課題もあります。

また、林業従事者の高齢化により、ベテラン層がいっせいにリタイアしていることも人手不足の原因です。

関連記事:林業で働く人がいない理由とは?人手不足を解消する3つの取り組みを紹介

Q3. 林業の年収は?今からでも食べていける?

厚生労働省の統計によると、林業の平均年収は約351万円です(2024年時点)。ただし、正社員・副業・独立・マルチフォレスターなどの働き方によって、年収は大きく異なります。

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まとめ

株式会社きこり

画像提供:株式会社きこり

林業には多くの課題がある一方で、展望を切り開く動きも着々と進んでいます。なかでもスマート林業は、今後の林業界の活性化を握るキーポイントとなるでしょう。

林業は「やめとけ」「未来はない」と言われることもありますが、技術導入や国からのサポートにより状況は変わりつつあります。「やっぱり、自分も林業に関わってみたい」と思った方は、まずはRINDOで情報取集から始めてみてください。

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