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2024.09.12 コラム

静岡県の森林・林業の現状は?地域別の特徴や林業について学べる場所を紹介

「静岡県で林業の仕事をしたいと考えているけど、森林や林業の特徴を知りたい」

森林大国の日本では、適切な管理が必要な状況になっています。
そのような中、全国で林業の担い手不足が深刻化し、林業の担い手確保・育成が大きな課題となっています。

これから林業の世界で働きたいと考えた中で、森林や林業の現状や課題が気になる方も多いのではないでしょうか?

静岡県といえば日本の中央にあり、「世界遺産の富士山」を思い浮かべることも多いでしょう。
そこで今回は、静岡県の森林や林業の現状について解説していきます。

各都道府県の森林・林業の特徴について読んでみる

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  • 目次
      1. 静岡県の基本情報
      2. 静岡県の森林の現状
          2.1静岡県全体の特徴
          2.2地域ごとの特徴
      3. 静岡県の林業について
          3.1林業経営体の数
          3.2林業従事者の推移
      4. 静岡県で林業について学べる場所は?
          4.1静岡県立農林環境専門職大学・短期大学部
          4.2(公益社団法人)静岡県山林協会(林業労働力確保支援センター)
      5. まとめ

1. 静岡県の基本情報

まずは、静岡県の基本情報について紹介します。

都道府県名 静岡県
所在地 中部地方
人口

約353万人(2024年8月時点)

面積

 約7,777㎢

県庁所在地

静岡市

森林面積 約49万ha
森林率 64%
主な樹種 スギ・ヒノキ、ケヤキ

静岡県は中部地方にあり、全国のほぼ中央に位置しています。
北は富士山をはじめとする3,000m級の山々が連なる山岳地帯南は太平洋に面し伊豆半島と御前崎の間には、日本で一番深い駿河湾や浜名湖などがあり、山の良さも海の良さも感じられる魅力的な県です。

静岡県は新幹線や高速道路が通り、東京や名古屋にアクセスしやすいだけでなく、静岡空港もあるため、全国・アジアとのつながりも可能です。

静岡県の気候は、全国的に見ても温暖な気候が特徴で、山間部では積雪も見られます。
山間部では林業が盛んですが、市街地に暮らしながら通える職場も多数あります。ライフスタイルに合わせて選択可能で、田舎暮らしも都会暮らしも実現してくれる魅力的な地域です。

2.静岡県の森林の現状

静岡県 風景

静岡県は、県土の6割以上が森林です。
ここからは、静岡県の森林について、県全体と地域ごとの特徴を見ていきましょう。

2.1. 静岡県全体の特徴

静岡県の森林率は約64%で、民有林のうち60%が人工林、36%が天然林という割合です。
人工林のうちスギとヒノキの割合が、半数ずつを占めている特徴があります。

また静岡県では、9割以上が樹齢41年以上の主伐期を迎えています。
全国平均が約5割となっていますので、大きく上回る数値です。

しかし近年では、全国的に国産材の需要が拡大傾向にあります。
静岡県は木材消費地である東京に近いという点から、静岡県の木材を使用した施設が誕生している特徴もあります。

しかし、まだまだ有効資源の活用と循環への取り組みがまだまだ必要と言えるでしょう。
参考:静岡県森林・林業統計要覧(令和5年度)

2.2.地域ごとの特徴

次に、静岡県内の地域ごとの特徴を見ていきましょう。

  • 伊豆地域
  • 富士地域
  • 静岡地域
  • 天竜地域

それぞれ見ていきます。

  • 伊豆地域
    伊豆地域は、県土の約6%を占める森林が広がっています。植林の歴史は、江戸時代にまでさかのぼりますが、戦後に植林した人工林が中心です。
    とくに約半数をヒノキが占めています。
    伊豆地域では、財産区などの公有林の比率が高くなっています。
  • 富士地域
    富士山麓に広がり、戦後に植林された人工林が多く、4分の3をヒノキが占めています。
    若い人工林が中心となっており「富士ひのき」の産地化を目指しています。
  • 静岡地域
    静岡地域は、大井川流域や安部川流域の中流域が中心で、江戸時代には大井川材を伐採・搬出し穢土に送っていた歴史があります。
    静岡地域では戦後を中心に植林が行われ、スギやヒノキの林業地として木材生産や森林の整理が盛んに行われています。
  • 天竜地域
    天竜地域は、江戸時代から続く林業地で、明治時代から積極的に植林が行われてきました。天竜地域の約7割が人工林で、そのうち約6割がスギを占めています。
    天竜美林」の名で知られ、日本三大人工美林にも数えられています。

静岡県は恵まれた自然条件から、森林の育成に適した地域です。地域によって歴史が異なり、それぞれの条件に合わせた樹種の造林が行われています。

3. 静岡県の林業について

静岡県内の林業現場風景(画像提供:株式会社白糸植物園様 求人ページ

利用期を迎えた森林が多い中、静岡県では担い手不足や高齢化が課題となっています。
ここからは、静岡県の経営体数や従事者数の現状について理解しておきましょう。

3.1. 林業経営体の数

静岡県の林業経営数は、2020年の農林業センサスによると837あります。
2015年には1964経営体ありましたが、約57%が減少しました。

また837ある経営体のうち、法人化しているのは103経営体があります。
県内にある経営体のうち「緑の雇用」事業を利用できるのは52社です。

緑の雇用事業は未経験の方でも、働きながら資格や技術を身につけられます。
静岡県内の認定事業体一覧は、「こちら」にありますので参考にしてください。

▷参考:静岡県の林業統計書(令和5年度)

また、「緑の雇用」について詳しく記載しておりますので、合わせてお読みください。
▷関連記事「緑の雇用とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!

3.2. 林業従事者の推移

静岡県内の林業作業員は、2022年で946人でした。
1995年には1,334人いましたが、2005年には1,000人をきり936人にまで減少しました。
その後は、横ばい傾向です。

また、立木の伐倒・造材・集材に関する適正な森林管理を担う森林技術者(林業作業士)の数は、2007年には281人でしたが2022年には、538人と増加しています。

静岡県内の従事者のうち、60歳以上の割合は約30%を占めており、ベテランを支える新たな森林整備の担い⼿として若い世代の活躍が期待されています。
▷参考:静岡県の林業統計書(令和5年度)

静岡県内の事業体はこちらをクリック▼

4.静岡県で林業について学べる場所は?

若い世代の活躍が期待されている静岡県ですが、まだまだ担い手を確保・育成することが重要課題です。
ここでは、静岡県内の林業への知識・資格取得を支援している場所を見ていきましょう。

  • 静岡県立農林環境専門職大学・短期大学部
  • (公益社団法人)静岡県山林協会(林業労働力確保支援センター)

それぞれの内容を見ていきましょう。


4.1.静岡県立農林環境専門職大学・短期大学部 

静岡県立農林環境専門職大学・短期大学部は、2020年4月に設立されました。
農林業に特化した専門的な教育を提供し、地域の農林業や環境の持続可能な発展に寄与することが目的です。

2年次に希望コースを選択することで、林業コースへと進みます。

林業コースでは、森林の管理や保全・木材の利用に関する実践的なスキルや環境保護や生態系の理解を深めるための科目が豊富に用意され、自分の興味に応じて選択が可能です。

また県有林などで実習を行い、森林管理の実践力や、トラクターやドローン・グラップラーなどの林業機械の実習を養います。
他にも、林業経営体における長期企業実習など実践的な経験も豊富です。

農林環境専門職大学は、地域の農林業の発展に貢献したい方にとって、非常に有意義な学びの場となっています。興味がある方は、ぜひ公式サイトをチェックしてくださいね。
静岡県立農林環境専門職大学・短期大学部

4.2.(公益社団法人)静岡県山林協会(林業労働力確保支援センター) 

公益社団法人静岡県山林協会は、静岡県の森林や林業の発展を支援するためにさまざまな事業を展開しています。

  • 就業相談会: 林業に興味がある方を対象に、就業相談会を開催し、林業の仕事についての情報提供。
  • 安全装備支援: 新規に林業に就業した方に対して、作業に必要な安全装備の調達にかかる経費を助成。
  • 退職予定自衛官への求人情報提供: 自衛隊からの退職予定者に対して、林業の担い手確保のための求人情報を提供。
  • 担い手育成: 「山林協会森林整備担い手基金」を活用し、就労環境の向上を目指した支援。
  • 「緑の雇用」事業: 林業に新規就業した方のスキルアップの支援。
  • 研修会の開催: チェンソー・刈払機の資格が取得でき、森林・林業の基礎知識、林業作業の実地講習や就業相談。
    治山・林道技術研修会を開催し、若手職員への技術指導。
  • 情報提供: 林業に関する情報を提供し、森林所有者や林業従事者の経営・管理に役立つ情報の発信。

また、しずおか森林写真コンクールが毎年開催され受賞作品の展示を行い、森林の美しさを広めるなど、森林や林業の発展を支援するために多岐にわたる活動を行っています。
(公益社団法人)静岡県山林協会林業労働力確保支援センター) 

静岡県内では、他にも森林や林業について学べる場所が多数あります。
静岡県森林・林業研究センター」で、森林や林業に関する研究開発や技術相談・一般向けのセミナーやワークショップの開催。

また「千代みどりの森(静岡市林業センター)」は、森林や林業の役割を理解するための学習の場として、自然観察や森林浴を楽しむこともでき、家族連れにも人気のスポットです。

そして、静岡県環境学習ポータルサイト「ふじのくに環境ラボ」では、県内の環境学習施設が紹介されていますので、お子様と一緒にめぐってみてはいかがでしょうか。

静岡県では学校や研修機関だけでなく、森林や林業に関するイベントやワークショップが定期的に開催されたり、林業作業を体験したりと専門家から直接学ぶ場も用意され学びやすい環境が用意されていますよ。

5.まとめ

静岡県の森林や林業の特徴について見ていきました。
静岡県は、どの地域も古くから林業が盛んで積極的な地域です。また田舎と都会のどちらの生活も実現しながら、林業の仕事ができる県と言えるでしょう。

静岡県は、大学で森林や林業経営についての学びを深められ、支援センターでの研修実施で資格取得支援を行うなど、従事者の確保や育成の場が用意されています。

ぜひ魅力がいっぱいの静岡県で、林業の仕事をはじめてみてはいかがでしょうか。

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