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奈良県の森林・林業の現状は?有名地域や支援先も紹介
「奈良県で林業の仕事をしていきたいんだけど、現状について詳しく知りたい」
これから林業の仕事をしたいと考えている方にとって、どこで仕事をしていこうか迷っている方も多いのではないでしょうか。
長年、日本全国の林業の模範とされ「吉野杉」や「磨丸太」の産地として有名な地域のある奈良県。
今回は、奈良県の森林や林業について解説していきます。
ぜひ最後まで読み進めて、参考にしてくださいね。
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- 目次
1. 奈良県の基本情報
まずは奈良県について、基本情報からみていきましょう。
都道府県名 | 奈良県 |
所在地 | 近畿地方 |
人口 |
約131万人(2024年5月) |
面積 |
約3,686㎢ |
県庁所在地 |
奈良市 |
森林面積 | 約28万ha |
森林率 | 77% |
主な樹種 | スギ・ヒノキ |
奈良県は、近畿地方の中央に位置する内陸県です。
北西部は、盆地部となっており人口の9割以上が北西部に集中し、南部地域はほとんどが山地で険しい山々がそびえ立つ地域です。
また奈良県は、大阪や京都等へのアクセスもよく、東大寺や法隆寺・興福寺・春日大社・奈良公園など多くの古代寺院や神社があるため、多くの観光客が訪れる人気の観光地です。
2. 奈良県の森林の現状
奈良県の森林の特徴について、奈良県全体の特徴や奈良県内で有名な林業地域についてみていきます。
- 奈良県全体の特徴
- 奈良県内で有名な林業地域|吉野地方
それぞれ説明していきます。
2.1. 奈良県全体の特徴
奈良県では森林率が約77%です。そのうち民有林の割合は、約95%と高水準となっています。
民有林の内訳は人工林が62%と、全国平均の45%と比べても人工林率が高い水準であり全国第6位です。
奈良県では戦後に造林された森林が多く、間伐や除伐などの保育が必要な3~12齢級の森林が5割以上を占めています。
また、全国平均に比べ19齢級(95年生)以上の割合が高くなっています。
奈良県では、林業の不振が長引き間伐や除伐が減少しました。その結果、放置林の増加へつながってしまいました。
そのような中、平成28年スイスのリース林業教育センターと友好提携を締結し、スイスの森林環境管理を参考にしています。
県内の森林を多面的な4つの機能に区分し「恒続林」、「適正人工林」、「自然林」、「天然林」の区分に誘導できるような取り組みをおこなっています。
2.2.奈良県内で有名な林業地帯|吉野地方
奈良県で有名な林業地として、吉野地方があります。
吉野地方は奈良県の南部に位置し、吉野郡は奈良県の60%を占めています。
吉野林業の歴史は非常に長く、1500年ごろから植林・造林がおこなわれるなど林業が盛んな地域として有名です。
吉野地方は、温暖な気候と豊かな水資源に恵まれています。
そのため吉野杉やヒノキなどの高品質な木材が生産され、建築材や家具材などに利用されている優れた木材生産地としても有名です。
吉野林業の施業は、密植多間伐長伐期施業となっています。しかし森林経営の維持が課題となっています。
そのため、大資本の所有者と地元の山守によって山林が維持されるなど、吉野独特の長伐期の林業経営がされているのです。
また吉野地方はスギ・ヒノキの混交林施業がおこなわれ、スギとヒノキが同程度の流通量というのも特徴です。
吉野の森林は、古くから文化的な価値も高く神聖な場所とされ、多くの寺社が建立されています。また桜の名所としても知られ、春には多くの観光客が訪れている地域です。
3. 奈良県の林業について
奈良県では間伐や除伐が必要な森林が多い中、山村地域の過疎化や林業生産の低迷などにより、担い手不足や高齢化が大きな課題です。
ここからは、奈良県の事業体数や従事者数の現状についてみていきましょう。
3.1. 林業事業体の数
奈良県の林業経営体数は、2020年農林業センサスによると652経営体です。
2015年には1400経営体ありましたが、5年間で46%減少しています。
林業経営体のうち、小規模経営(5ha未満)の林家が約9割を占めています。
▷参考:奈良県ホームページ2020年農林業センサス・2015年農林業サンセス経営体調査
▷参考:奈良県森林施策の概要(令和6年度版)
また県内に652ある経営体のうち、「緑の雇用」事業を利用できる事業体は令和6年1月時点で45事業体です。
未経験の方もキャリアアップの支援が整い、多くの方が認定事業を活用した事業体に就業しています。
気になる事業体がありましたら、ぜひ積極的に問い合わせてみてくださいね。
▷奈良県認定事業者一覧はこちら
▷関連記事「緑の雇用とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!」
3.2. 林業従事者の推移
奈良県内の林業従事者は、令和2年で814人です。
昭和50年には5,371人いましたが、平成7年には2,351人、平成27年には1,000人をきり959人と年々減少しています。
平均年齢は、昭和60年から55歳〜58歳となり、令和2年では55歳と高齢が多いのも特徴です。
また新規就業者の推移では、落ち込んだ年度もありましたが増加傾向にあり、令和4年は34人の方が新しく就業されています。
奈良県では、担い手の育成や確保が大きな課題です。
また、急峻な地形が多いため壊れにくい作業道を中心とした林内路網の整備、林業機械導入を進め低コストの木材生産の推進が必要となっています。
4.奈良県の林業支援
奈良県では、林業について学べる学校や支援制度など、担い手不足の対策がおこなわれています。
ここでは、林業について学べる学校や研修支援などをおこなう機関を紹介します。
- 奈良県フォレスターアカデミー
- 奈良県林業労働力確保支援センター
- 奈良県森林組合連合会
それぞれの特徴をみていきましょう。
4.1.奈良県フォレスターアカデミー
奈良県では、「奈良県森林環境の維持向上及び県産材の利用促進に関する指針」が令和3年に制定され、令和3年4月に吉野町飯貝に開校されました。
奈良フォレスタ―アカデミーでは、スイスのフォレスターなどをモデルとし、新たな森林環境管理のスペシャリストの育成に努めています。
奈良フォレスタ―アカデミーには、2つの科があります。
学科 |
就業期間 |
内容 |
フォレスター学科 |
2年 |
施業管理などの従来の林業に加え、森林の「森林資源生産」、「防災」、「生物多様性保全」、「レクリエーション」の4つの機能を総合的にマネジメントできる環境管理の知識と技術を持つ人材の育成 |
森林作業員学科 |
1年 |
基本的知識や技術、地域性を持った技術的課題について学び、川上から川下まで全体の流れをイメージし森林管理作業をおこなえる人材の育成 |
卒業生の就職先は、林業事業体や森林組合などが多くなっています。
また県では、フォレスター学科を卒業した県職員を「奈良県フォレスター」として任命し、市町村に配置する取り組みもおこなっています。
奈良県フォレスターは、担当市町村に常駐し長期間に地域を担当。森林環境管理に関する総合的なマネジメントをおこなっています。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください。
▷参考:奈良県フォレスターアカデミー
4.2.奈良県林業労働力確保支援センター
奈良県林業労働力確保支援センターは、林業労働力の確保と新規就業者の支援をおこなう機関です。
主な取り組みは、以下のような内容があります。
- 林業就業相談
- 林業就業支援講習や林業体験プログラム
- 林業事業体の雇用管理改善や事業の合理化支援
- 林業就職フェアの開催
などです。講習は20日間、5日間、1日など日数によってプログラムも異なります。
県内にある認定事業体のハローワークインターネットサービスへの登録状況も閲覧可能です。
▷参考:奈良県林業労働力確保支援センター
4.3.奈良県森林組合連合会
奈良県森林組合連合会では、支援事業に関して林業の担い手確保や適切な森林管理の実現に向けた取り組みをおこなっています。
森林組合連合会では、林業就業支援講習の開催や森林施業の指導、緑の雇用事業、技能講習や特別教育・安全衛生教育など、さまざま事業内容があり支援もおこなっています。
ホームページでは、講習や相談会の開催情報について随時更新中です。興味がある講座や研修がありましたら、積極的に申し込みしてくださいね。
▷参考:奈良県森林組合連合会
5.まとめ
今回は、奈良県の森林や林業従事者の特徴についてみていきました。
奈良県は、日本でも歴史のある林業地です。また「緑の雇用」事業を活用できる事業体もあり支援内容や学べる場所なども充実しています。
奈良県では移住制度もあります。「奈良移住を検討する方へ|魅力や支援制度を紹介」では詳しく紹介していますので、こちらも参考にしてくださいね。
どこの自治体で林業の仕事をしていこうか迷っている方は、ぜひ奈良県を候補に入れてみてはいかがでしょうか?
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