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京都府の森林・林業の現状は?地域別の特徴や就業支援についても紹介
「京都府で林業の仕事をしていきたいけど、森林や林業について詳しく知りたい」
「各地域の林業の特徴を知りたい」
林業の仕事に興味はあるけれど、どこの地域で働いていこうか悩んでしまいますよね。
観光地として日本国内だけでなく、海外からも人気の京都は豊かな自然が魅力的で、林業も盛んな土地です。
そこで今回は、京都府の森林や林業従事者の現状について解説していきます。
- 目次
- 京都府の基本情報
- 京都府の森林の現状
2.1京都府全体の特徴
2.2地域別の特徴- 京都府の林業について
3.1林業事業体の数
3.2林業従事者の推移- 京都府の林業支援
4.1京都府立林業大学校
4.2(公財)京都府林業労働支援センター
4.3緑の担い手育成事業- まとめ
1. 京都府の基本情報
まずは京都府について、基本情報から見ていきましょう。
都道府県名 | 京都府 |
所在地 | 近畿地方 |
人口 |
約282万人(2024年6月) |
面積 |
約4612㎢ |
県庁所在地 |
京都市 |
森林面積 | 約34万ha |
森林率 | 74% |
主な樹種 | スギ・ヒノキ・マツ・ケヤキ・カシ |
京都府は本州の中央部に位置し、日本海に面した丹後半島から南東に細長い地形が特徴です。
山地や丘陵地が多く、丹波高地や比叡山、大文字山などの山々が広がっています。
細長い地形から南は瀬戸内、北は日本海による気候の影響を受けています。
降雨が少なく乾燥しやすいことや夏と冬の気温差が大きく「京都の底冷え」と呼ばれるほど寒さが強いことも大きな特徴です。
そして、細長い地形から森林や林業についても地域ごとに異なった特徴があります。
2. 京都府の森林の現状
県土の約7割が森林という京都府。京都府の森林の特徴をみていきましょう。
- 京都府全体の特徴
- 地域別の特徴
それぞれ説明していきます。
2.1. 京都府全体の特徴
京都府では約97%が民有林と、全国の69%と比較するとかなり高水準となっています。
民有林内訳として約4割が人工林、約6割が天然林と天然林の割合が高いことも特徴の1つです。
樹種別割合をみていくと、人工林の割合ではスギが20%、ヒノキが17%、マツが20%。
6割を占める天然林では、広葉樹の割合が40%で、その他針葉樹はマツが多くなっています。
また京都府内では、利用期を迎えた森林も多いことも特徴です。
2023年4月時点で、県内の人工林のうち10齢級以上(46年生)の林分が79%を占めるなど、利用期を迎えた森林が多いです。
その反面、造林面積や間伐面積も減少傾向にあり、間伐などの手入れが必要な7級(35年生まで)の森林の割合が8%と若齢林が少なくなっています。
2.3.地域別の特徴
京都府は南北に長くなっており、地域ごとで気候が異なり気候に応じた林業がおこなわれています。
・京都市・山城地域
京都府の木として制定されている「北山杉」の生産がおこなわれている京都市北西部。
この地域では、室町時代から続く約600年の歴史を持つ伝統的な「北山林業」が盛んにおこなわれています。
「磨丸太(みがきまるた)」や「絞丸太」などの高級な製品が生産され全国的にも有名です。
他にも竹林が多い乙訓地域ではタケノコの生産、山城地域ではシイタケの生産が多いのも特徴です。
・丹後・中丹地域
丹後地域は京都府の総面積の約75%を占め、そのうち95%が民有林と高水準となっています。
また丹後・中丹地域では海岸が近くにあるため、松林広がりも特徴です。松林は海から吹く風をやわらげたり、海岸の砂が飛んでいくのを防ぐ役割を果たしています。
また利用期を迎えた木の利用や間伐への取り組みに力を入れています。
・南丹地域
府内で最も林業が盛んにおこなわれている地域です。
南丹市の88%という森林率で、スギやヒノキが中心となり利用期を迎え若返りが必要となっています。
南丹地域には、森での体験学習ができる「STIHLの森京都(府民の森ひよし)」や「京都府立林業大学校」があります。
3. 京都府の林業について
利用期を迎えた森林も多い中、京都府では森林整備が追いついていない状況です。
担い手不足や高齢化が大きな課題となっています。
ここからは、京都府の事業体数や従事者数の現状について理解しておきましょう。
3.1. 林業事業体の数
京都府は2020年の時点で、619の林業経営体となっています。
2015年の調査では1574経営体ありましたが、5年間で60%も減少しているのです。
また619ある経営体のうち「緑の雇用」事業を受けられる事業体は43社あります。
未経験の方が林業の道へ進む際に、緑の雇用事業を利用している方が増えています。
気になる事業体がありましたら、一度問い合わせてみてくださいね。
▷関連記事「緑の雇用とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!」
3.2. 林業従事者の推移
府内の林業従事者は、令和4年時点で470人。10年前と比べて193人減少するなど、担い手不足が大きな課題です。
男女別では460人が男性、女性は10人と女性の人数も低くなっています。
また年齢別では40歳以下は全体の28%、40歳〜49歳は23%、50歳以上が49%です。
50歳以下の割合が、2002年では24%だったものが半数を超えるまでに増加しており、従事者の若返りの傾向がみられます。
しかし、まだまだ高齢化や担い手不足への対策が必要です。
京都府内の事業体はこちらをクリック▼
4.京都府の林業支援
京都府では、林業について学べる学校や支援制度など、担い手不足の対策もおこなっています。
ここでは、林業について学べる学校や研修、支援制度を紹介します。
・京都府立林業大学校
・(公財)京都府林業労働支援センター
・緑の担い手育成事業
それぞれの特徴をみていきましょう。
4.1.京都府立林業大学校
京都府立林業大学校は、2012年に西日本で初めて開設された林業専門の大学校です。
以下の教育目標の元に、人材育成や資格取得に取り組んでいます。
- 実践的な技術・知識を身につけて第一線で活躍できる人材
- 森林保全活動から野生鳥獣害対策まで幅広い地機器活動を支える公共人材
- 森林組合など林業事業体の経営力の向上を支える人材
「森林林業科」と「研修科」の2つの科があり、森林林業科では2つのコースがあります。
・林業専攻
・森林公共人材専攻
2年制で、伐採法などの林業の技術や森林保全活動などを学び、現場で活躍できる人材の育成をしています。
詳しくは、公式ホームページや「京都府立林業大学校 紹介記事」でも詳しく紹介しておりますので、そちらも合わせてご覧ください。
▷京都府立林業大学校
4.2.(公財)京都府林業労働支援センター
(公財)京都府林業労働支援センターでは、さまざまな就業支援事業をおこなっています。
「グリーンワーカー研修」では、林業への就業を希望する未経験者に対して、林業の基礎的な技術や資格取得の支援。
また現役の林業従事者に対しては、より高度な技術習得や資格取得を支援する研修事業を実施。適切な雇用管理体制の構築や労働環境の改善などの支援をおこなっています。
そして就労相談やイベントの開催、長年林業に従事してきた労働者に対して退職金の給付などの支援内容はさまざまです。
詳しい内容は公式サイトで確認し、問い合わせてくださいね。
4.3.緑の担い手育成事業
京都府では、林業事業体を通した林業労働者支援制度を設けています。
主な支援内容は2つです。
新規就労者支援事業として、林業事業体が新規就労者に対して貸与するチェーンソーなどの機材や安全作業に必要な保護具の購入費用に対しての助成。
また、林業労働者の就労環境などの改善を目的として、専門家への相談や労働安全対策の実施、安心して就労できる取り組みを実施する場合に必要な費用の助成もあります。
京都府では林業労働力の確保と育成、事業者の経営支援など多角的な取り組みをおこなっています。
5.まとめ
今回は、京都府の森林や林業従事者の特徴についてみていきました。
京都府内では、林業の担い手不足や高齢化の課題がありますが、林業大学校や研修制度を設け担い手確保や育成に取り組んでいます。
京都府は、歴史的な寺院や神社、四季折々の風景など、移住者にとっても魅力が満載です。そして移住先としても人気の都市で、移住制度も充実しています。
「京都移住を検討する方へ|京都の魅力と支援制度を紹介」で詳しく解説しています。
これから京都で林業の仕事をやっていきたいと迷っている方は、こちらもご覧くださいね。
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