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2024.04.28 コラム

自伐型林業とは?現行林業との違いや学べる場所・地域支援例も紹介!

手入れの難しい急峻な箇所が多く、人手不足やコスト面などでも課題が多い日本の山林。 その中で、全国の中山間地を中心に「自伐型林業」というスタイルが、注目され広がりをみせています。

しかし、「自伐型林業ってなに?」

「言葉は聞いたことあるけど、詳しくわからない」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、自伐型林業について解説します。現行林業との違いや学べる場所、自治体による支援内容についても紹介しています。

さまざまな働き方のある林業の世界。これから、どのように働いていこうか迷っている方の選択肢の1つとして参考になればと思います。ぜひ、最後まで読み進めてくださいね。

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  • 目次
        1. 自伐型林業について理解しよう!
          1.1.自伐型林業とは?
          1.2.自伐型林業と現行林業の違い
          1.3.自伐型林業の課題
        2. 自伐型林業が学べる場所3つ紹介
          2.1.「自伐型林業大学校」(福井県)
          2.2.NPO法人「地球のしごと大學」関東校・関西校
          2.3.NPO法人「自伐型林業推進協会」
        3. 自伐型林業への地域支援を紹介
        4. まとめ

1.自伐型林業について理解しよう!

森林の写真

では、自伐型林業とはどのような林業スタイルなのでしょうか? 下記の内容について解説していきます。

  • 自伐型林業とは?
  • 自伐型林業と現行林業の違い 
  • 自伐型林業の課題

さっそく見ていきましょう!

1.1.自伐型林業とは?

自伐型林業とは「採算性」と「環境保持」の両立ができ、持続的森林経営が可能となる林業のスタイルのことです。 山林保有者や生業とした林業者が、責任をもって100年・200年持続的に山林を守り育て、後世へと引き継いでいきます。

自伐型林業は「多間伐施業」と言われており、少人数による小規模施業により行われます。毎年全体の2割程度の間伐を繰り返し、長期的に経営を安定させていきます。一気に伐採する皆伐ではなく、少しずつ長期的に間伐することで、木の成長を促す効果もあり、森林の価値を高めることが可能です。

中山間地域の特性を活かして、林業だけでなく農業との兼業や地域の異業種と組み合わせた6次産業など、森林の多目的活用化が期待できます。 また、若い世代からリタイア層・女性や障がい者就労まで、幅広い方たちが就業できるチャンスもうまれるのです。

メディアでも特集されるなど、注目され全国に広がっています。

1.2.自伐型林業と現行林業の違い

では、現行の取り組み方とどのような点が違うのでしょうか?

自伐型林業と現行林業の大きな違いに、スタイル・施業方法や採算性・規模・生産材などさまざまな違いがあります。

自伐型林業では、自分の所有する山や山主から任された山を自分たちで長期的に管理していくスタイルです。 一方で現行林業は、山の所有者が地元の森林組合や民間の林業会社に施工や経営を依頼する「施工受託型林業」となります。

また、自伐型林業の「多間伐施業」に対して、50年程の木を皆伐し再造林していく「短伐期皆伐施業」が多くなっています。

そし 大規模施業の現行林業では、大型の機械を使用するため作業道も幅広い道をつくらなければなりません。そのため、土砂崩れなど自然災害が起きる恐れもあります。

しかし、自伐型林業では、大量の木を伐らないので大きな機械は必要ありません。必要な道具は、チェンソーと材を運ぶトラック、小型機械だけで可能です。そのため、作業道の幅も2.5m以下で済んでしまいます。

自伐型林業と現行の林業では、さまざまな点で違いがあると分かりますね。

1.3.自伐型林業の課題

自伐型林業には、メリットも多くありますが、問題や課題点もあります。 自伐型林業を始めるには、山をもっていない場合は、購入したり貸してもらったりする必要があります。

しかし、管理が行き届かず「山主さんがだれかわからない」、「亡くなっている人の名義のまま」などの山も多い現状です。 目的の土地が、誰の土地かわからなかったり、すでに森林組合や民間会社の施工現場となっていたりする場合も……。森林を確保や管理するうえで、行政や森林組合などと連絡を取り合い情報共有し、連携する必要があります。

また、自伐型林業は、木を見極めたり、伐り倒す技術が必要です。技術を身につけるのには、時間がかかることも理解しておきましょう!

2.自伐型林業が学べる場所を3つ紹介

伐採風景

自伐型林業に魅力を感じ、始めたいと思っても独学で始めるのはハードルが高く感じてしまいますよね。 では、自伐型林業について学べる場所はあるのでしょうか? 以下の3か所を紹介します。

  • 自伐型林業大学校(福井県)
  • NPO法人「地球のしごと大學」関東校・関西校
  • NPO法人「自伐型林業推進協会」

それぞれ紹介します。

2.1.「自伐型林業大学校」(福井県)

林業県でもある福井県には「自伐型林業大学校」があります。 「山守りの基礎基本を学びながら、みんなで育てる学校」という理念のもと自伐型他林業の知識やスキル、経営目的まで学べる学校として開校されました。

  • 入校資格など
入校資格 18歳以上で性別・在住地問わず健康な方
学費 福井県と福井市が基本的な受講料を負担
  • 基本コースについて
コース名 日程 内容
基礎スタートアップコース 10日間 チェンソー・刈払機、小型車両系建設機械の運転業務、作業道づくりの座学の実技、自伐型林業に必要な経営の座学など
技能スキルアップコース 19日間

作業道整備基礎研修、刈払機スキルアップ(除伐) 、チェンソー作業スキルアップ(選木・伐採) 、林内作業車施業スキルアップ(枝払い、造材、搬出) 、山林調査、GPS測量、システム利用など

独立経営スキル習得コース 9日間 自伐型林業の経営法、独立準備・団体設立方法・事業・活動計画の作り方など

各コースを1年で受講しても最長3年かけてゆっくり学ぶことも可能です。

2024年4月時点では、7月からの開校には、まだ間に合いそうです。気になる方は、チェックしてみてくださいね。

公式サイト:https://zibatsu.net/

2.2.NPO法人「地球のしごと大學」関東校・関西校

NPO法人「地球のしごと大學」は、2013年に「地球にとっても、よいしごと」をスローガンに開校されました。関東校では、2016年に「自伐型林業学部」がスタートし、12期開講され300人以上が受講しています。2019年には、関西校もスタートしました。

 チェーンソー作業教育やバックホー(油圧ショベル)の操作、作業道敷設、集材搬出などが学べます。

  費用 備考
7講座授業(12.5コマ) 137,500円/1人 関西遠征あり、保険料込み、宿泊・飲食費用は別途
6講座授業(10.5コマ) 115,500円/1人 関西遠征なし、保険料込み、宿泊・飲食費用は別途

夫婦や親子など同居する家族が同時に参加する場合は、半額で受講できるため、家族で自伐型林業を学びたいという方にも学びやすい環境と言えますね!

関東校では、埼玉県の林業古豪の地である西山林業地域で、学べ遠征で兵庫県や奈良県吉野でのモデル山林の視察ができるコースもあります。

2024年6月にスタートする講座は、平日コースと休日コースですが、2024年4月時点で、休日コースは定員に達したため平日コースのみとなっていました。

地球のしごと大學では、他にも「農林複業学部」や「循環型農業学部」、「究極の田んぼ学部」など7学部あり、同時に学ぶことも可能です。 自伐型林業では、林業だけでなく「林業×〇〇」で仕事をしている方も多いので、興味のある分野を一緒に学ぐことで、より可能性も広げられますね。

公式サイト:https://chikyunoshigoto.com/

2.3.NPO法人「自伐型林業推進協会」

自伐型林業推進協議会は、持続可能な林業を推進し、自伐型林業に関する情報提供をしているNPO法人です。

地域の環境保全やコミュニティの活性化を目指しており、個人や地方自治体、地域が自伐型林業への移行を検討する際の支援をしています。

全国48の自治体が自伐型林業推進を展開し、これまでに68の自治体が自伐支援を実施してきています。

  • 研修や地域おこし協力隊の受け入れだけをしている自治体
  • 研修の実施、機械レンタル、安全装備の導入支援、個人が加入する保険代金の補助までする自治体

など、自治体により支援内容はさまざまです。

無料で研修の開催をしている会が多くありました。

公式サイト:https://zibatsu.jp/

3.自伐型林業への地域支援を紹介

チェーンソーで木を伐る人

自伐型林業を始めたいと思っていても、地域の理解や支援がなければ始めるのも難しいと感じますよね。ここでは、自治体による自伐型林業への支援内容をいくつか紹介します。

先ほど紹介したNPO法人「自伐型林業推進協会」では、積極的に支援・活動している地域や研修会などの情報も掲載されています。

北海道函館市

函館市内の私有林は、小規模で隣接森林と集約している山が多い地域です。大規模機械による整備が難しいケースもあり、急な坂が多く手入れの難しい点やコスト面から自伐型林業を推進しています。 自伐型林業普及のために、函館市では参加費無料の「自伐型林業の研修」や「講演会」などが開催されています。

宮城県

従来型の林業では対応が難しい小面積の森林整備や移住者の方への支援をしています。チェンソーの購入費用の補助や研修会の開催、活動フィールドの提供や確保の支援などさまざまです。

福井県

学校の紹介でも取り上げた福井県では、授業料支援以外にもまだまだあります。

  • 自伐型林業に取り組む目的で移住する方に対して100万円の移住支援金
  • 自伐型林業に合わせて行う副業に対しての支援
  • 技術習得のための研修会

各自治体によって支援内容はさまざまです。NPO法人自伐型推進協会や各都道府県・市区町村のホームページなどで詳しく掲載されていますので、一度チェックしてみてくださいね。

4.まとめ

今回は「自伐型林業」について見ていきました。

林業は、自伐型林業だけでなく、さまざまな方法がありそれぞれに特徴があります。 これから、林業の仕事をしていきたいという方は、ご自分がどのような働き方で林業に関わっていきたいのか、じっくりと考えてみるとよいでしょう。

RINDOでは、みなさんの林業について知りたい情報や企業・求人情報を紹介しています。 気になる情報や疑問などがあれば、メールやLINEでお問い合わせ可能です。お気軽にお問い合わせください。

また、これからどんどん情報更新していきます。ぜひ定期的にチェックしてみてくださいね。

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