NEWS お知らせ・コラム
福岡県の森林・林業の現状は?相談先・年収事例まとめ

福岡県は、日本のほかの地域に比べるとコンパクトな面積ながら、豊かな森林資源に恵まれた地域です。
森林は、私たちの暮らしを支えるだけでなく、林業という重要な産業の基盤にもなっています。
この記事では、福岡県の森林・林業の現状や特徴、そして林業を目指す方が利用できる相談先について解説します。
”日本初の林業特化求人サイトRINDOで
ここにしかない転職活動を”
LINE登録者限定で就職お役立ち情報・新着求人情報などをいち早くお届け!
※「林業に興味があるけれど、どうすればよいか分からない…」という初心者の方もお気軽に公式LINEからご相談くださいね♪林業経験者が丁寧にお答えします!
- 目次
- 福岡県の基本情報
- 福岡県の森林の現状
2.1 福岡県全体の特徴
2.2 地域による特徴- 福岡県の林業について
3.1林業経営体の数
3.2林業従事者の推移- 福岡県での林業についての相談先:公益財団法人「福岡県水源の森基金」
- 林業従事者の1日と年収【福岡県編】
5.1仕事の流れ
5.2林業従事者の年収- 福岡県×林業についてよくある質問
6.1.福岡県の森林や林業の特徴は?
6.2.福岡県で林業の仕事を始めるには?
6.3.福岡県に移住して林業に就けますか?- まとめ
1. 福岡県の基本情報
まずは、福岡県の基本情報についてみていきましょう。
都道府県名 | 福岡県 |
所在地 | 九州地方 |
人口 |
約509万人(2025年8月時点) |
面積 |
約4,988㎢ |
県庁所在地 |
福岡市 |
森林面積 | 約22.5万ha |
森林率 | 約45% |
主な樹種 | スギ・ヒノキ |
福岡県は九州地方の北部に位置し、九州の政治、経済、文化の中心地です。県内には、九州最大の都市である福岡市や政令指定都市の北九州市があり、人口は全国9位の地域です。(令和2年国勢調査)
三方を海に囲まれ、筑後川や遠賀川といった豊かな水系や、英彦山や宝満山などの山々があり、自然にも恵まれています。県土の約45%を森林が占め、緑地保全から木材供給まで、多面的な機能を持っています。
2. 福岡県の森林の現状
次に、福岡県の森林について、県全体と地域の特徴をみていきます。
2.1 福岡県全体の特徴
福岡県は、県土面積の約45%にあたる 225,091ha を森林が占めています。都市部の人口密度が全国有数の高さである一方で、県土のおよそ半分が森林という点は、自然と都市が近接する福岡県の大きな特徴です。
森林の内訳を見ると、民有林が199,550ha(約89%) を占め、残りの 25,541ha(約11%) が国有林となっています。民有林の割合が高いことから、地域の森林所有者や団体による管理・経営の役割が大きいです。
また、民有林の約 64% はスギやヒノキを中心とした人工林です。全国平均(約40%)と比べても高い割合であり、福岡県の林業にとって大きな資源基盤となっています。樹種別に見ると、スギが最も多く、次いでヒノキ、マツが続きます。
現在、人工林の多くは樹齢40年以上(9齢級)の伐採期を迎え、計画的な伐採と再造林が課題です。都市近郊で木材需要も多い福岡県において、森林資源を活かした地域経済の発展や環境保全の両立が重要視されています。
2.2 地域による特徴
「北九州」「福岡」「筑後」「筑豊」の4つの地域に分けて見ていきましょう。
北九州地域
北九州地域は、県の東部に位置します。都市化が進む一方で山間部にはスギやヒノキの人工林が広がっています。
かつては石炭産業で知られていました。現在は森林資源を活かした環境保全や木材利用の見直し、都市住民の憩いの場である里山保全や都市近郊林の活用も進んでいます。豊前市、築上郡などの京築エリアで生産される「京築ヒノキ」は、地域のブランド材として知られています。緩やかな成長により、年輪幅が細かく締まっているのが特徴です。白く美しい木肌と高い耐久性を備えた優良材として評価されています。
福岡地域
福岡地域は、県庁所在地を含む都市圏ですが、背振山系や三郡山地など豊かな森林が広がっています。
水源涵養や環境保全の役割があり、都市住民の憩いの場としても活用されています。筑後地域
筑後地域は県の南部に位置し、福岡県内で林業が盛んな地域です。耳納連山や矢部川上流域を中心に森林が広がり、スギやヒノキの植林地が多く見られます。八女地域で生産される「八女杉(やめすぎ)」は、木目が美しく、年輪が詰まった赤身の多い良材で、強度や加工性にも優れる銘木として全国的に有名です。また「耳納杉(みのうすぎ)」も地域ブランド材として評価が高く、建築材や家具材に広く利用されています。
筑豊地域
筑豊地域は飯塚市や田川市などを含む、県の中央部に位置しています。緑豊かな山地にはスギ・ヒノキの人工林が多く見られ、伐採期を迎えています。
人工林の計画的な利用と、林業の担い手の育成・確保が課題です。地域の森林組合や事業体が連携し、地域産材の活用や高性能林業機械の導入を進めるなど、林業の生産力強化と持続的な森林管理に向けた取り組みがおこなわれています。
福岡県内の森林は地理的・歴史的背景から、地域ごとに異なる役割と特徴を持っています。
3. 福岡県の林業について

画像提供:メジャーフォレストリー株式会社
福岡県の林業を支える経営体や、林業従事者についても理解しておきましょう。
3.1林業経営体の数
福岡県の林業を担う経営体は、719経営体です。2015年には1,836経営体ありましたが、5年間で大幅に減少しました。この719経営体のうち、法人化しているのはわずか45経営体で、個人経営体が多数を占めています。
減少幅を詳細に見ると、個人経営体が6割以上の大幅な減少となったのに対し、法人経営体の減少は半数程度にとどまっています。
福岡県内の経営体のうち、国の支援制度である「緑の雇用」事業の認定事業体は、42社です(令和7年4月1日時点)。この制度は、研修中の費用を国が支援してくれるため、未経験の方でも安心して林業に就業し、必要な技術や資格を働きながら習得可能です。
認定事業体については、福岡県林業労働力確保支援センターの「認定林業事業体一覧」をご覧ください。
▶福岡県農林水産白書 付属統計・資料(林業編)
▶関連記事:「緑の雇用とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!」
3.2林業従事者の推移
2020年(令和2年)の福岡県内の林業従事者数は、951人でした。直近の2015年(平成27年)の960人からわずかな減少にとどまっており、全国的な課題となっている従事者数の急激な減少は抑えられていることが分かります。
この従事者数を年齢別に見ると、林業従事者の年齢構造が変化しつつあることが分かります。とくに、40代の従事者の割合が2010年(15%)から2020年(24%)にかけて大幅に増加。徐々にではありますが、林業への新たな担い手の参入や、定着が進んでいる傾向を示しています。
以下の表は、福岡県における林業従事者数と、年代別の人数および()は割合を示したものです。
年齢 | 2005年 (平成17年) | 2010年 (平成22年) | 2015年 (平成27年) | 2020年 (令和2年) |
---|---|---|---|---|
15歳~29歳 | 41人 (7%) | 103人 (10%) | 80人 (8%) | 79人 (8%) |
30歳~39歳 | 60人 (11%) | 178人 (18%) | 173人 (18%) | 157人 (17%) |
40歳~49歳 | 79人 (14%) | 154人 (15%) | 177人 (19%) | 227人 (24%) |
50歳~59歳 | 155人 (27%) | 245人 (25%) | 194人 (20%) | 166人 (17%) |
60歳~64歳 | 55人 (10%) | 144人 (14%) | 137人 (14%) | 106人 (11%) |
65歳以上 | 178人 (31%) | 176人 (18%) | 199人 (21%) | 216人 (23%) |
合計 | 568人 | 1,000人 | 960人 | 951人 |
近年、福岡県の林業現場では、高性能林業機械の導入が積極的に進められています。これにより、従来の重労働が軽減され、身体的な負担が少ない効率的な作業が可能となりました。また、八女杉などの地域ブランド材を育む環境で働ける魅力があります。
未経験者に対しては国の支援制度である「緑の雇用」が充実し、安定した雇用と専門技術の習得が可能な環境です。
▶福岡県農林水産白書 付属統計・資料(林業編)
4. 福岡県で林業について相談先:公益財団法人「福岡県水源の森基金」
福岡県では、林業の仕事につきたい方への支援先として、公益財団法人「福岡県水源の森基金」(福岡県林業労働力確保支援センター)があります。
林業労働力確保支援センターでは、林業就業希望者に対して、さまざまな支援をおこなっています。
主な支援内容は、以下のとおりです。
- 林業就業相談
- 職業紹介
- 林業体験実習・ガイダンス
- キャリアアップ支援・「緑の雇用」制度に関する情報
- 認定事業主一覧
- 先輩の声紹介
仕事内容やキャリアプランについて、相談を受けられるほか、作業現場を見学する研修や林業就業支援講習(実践コース)も実施しています。
林業に興味のある方は、まずは林業労働力確保支援センターへの相談から始めてみましょう。
▶林業労働力確保支援センター
5.林業従事者の1日と年収【福岡県編】

画像提供:メジャーフォレストリー株式会社
林業の仕事は自然を相手にした仕事です。仕事内容や給与について、具体的に知りたい方も多いでしょう。
福岡県と大分県を中心に林業をおこなう「メジャーフォレストリー株式会社」の1日の流れや年収を紹介します。
5.1.仕事の流れ
「メジャーフォレストリー株式会社」の仕事の流れをみていきます。
8:00 | 事務所で朝礼 |
8:15 | 現場到着、安全ミーティング |
8:30 | 作業開始 |
10:00 | 休憩(約1時間おきに適宜休憩) |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 午後の作業開始 |
15:00 | 休憩 |
16:00 | 給油、機械点検など |
17:00 | 現場の片付け、整理整頓 |
17:15 | 帰社、1日の振り返り、日報記入 |
17:30 | 退社 |
作業は間伐や主伐、造林など、季節や計画にあわせて多岐にわたります。
5.2.林業従事者の年収
林野庁の調査によると、経験や保有資格、役職によって異なりますが、林業従事者の平均年収は約300万円(令和5年時点)です。
給与 |
1.基本給について 2.昇給・賞与の詳細情報 3.モデル年収 |
休日・休暇 |
|
福利厚生 |
|
モデル年収から見ると、メジャーフォレストリー株式会社では、林業歴1年目でも平均年収を上回るようです。求人情報の詳細は、「RINDO」の求人ページをご覧ください。
RINDOでは、全国の求人情報が掲載されています。年収や福利厚生などは、各事業体により異なりますので、ほかの県の求人内容の比較をしてみるのもおすすめです。
また、求人内容の不明点は、事前にしっかりと確認しましょう。
6.福岡県×林業についてよくある質問
最後に、福岡県の林業についてよくある質問をまとめました。
6.1.福岡県の森林や林業の特徴は?
福岡県の森林は、県土面積の約45%を占め、都市と自然が近接しています。人工林率が、約64%と全国平均(約40%)より高く、スギやヒノキの豊富な資源が伐採期を迎えているのです。
地域別では、筑後地域(八女杉・耳納杉)が林業の中心地である一方、福岡地域や北九州地域では水源涵養や里山保全といった公益的機能の役割があります。
6.2.福岡県で林業の仕事を始めるには?
福岡県で林業を始める一般的な流れは、以下のとおりです。
- 情報収集・相談:公益財団法人「福岡県水源の森基金」(福岡県林業労働力確保支援センター)や森林組合、ハローワークなどで情報を集めましょう。
- 体験・見学:林業体験や現場見学会に参加して仕事を理解する
- 求人応募・就業:森林組合や林業事業体へ応募する
- 研修・資格取得:「緑の雇用」制度などを活用する
この流れを参考に、福岡県で林業の第一歩を踏み出してみましょう。
6.3.福岡県に移住して林業に就けますか?
福岡県は都市機能と豊かな自然が近接しており、林業に就業しながら都市の利便性を享受しやすい地域です。
県では、高性能林業機械の導入による労働環境の改善や、「緑の雇用」制度による技術習得支援など、I・Uターンを歓迎する体制も整っています。
福岡県での暮らしや移住支援制度についてさらに詳しく知りたい方は、「福岡移住を検討している方へ|暮らしの魅力・支援制度・おすすめエリア5選」をご覧ください。
7.まとめ
今回は、福岡県の森林や林業の特徴について見ていきました。
福岡県は、都市部に近いながらも豊かな森林資源を持ち、とくにスギやヒノキの人工林が林業の主要な資源となっています。近年、林業従事者の減少や高齢化といった課題がある一方で、高性能な林業機械の導入や若者を対象とした就業支援制度の充実など、新しい取り組みも活発におこなわれています。
福岡県の豊かな自然の中で、林業の仕事をはじめてみてはいかがですか。
「RINDO」では、林業に関する情報発信や全国の企業を紹介。 専門の求人サイトとして求人情報も随時更新中です。