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2025.09.18 コラム

徳島県の森林・林業の現状は?支援情報から年収まで解説

「徳島県で林業の仕事を探している」
「徳島県の林業について知りたい」

徳島県は、県土の76%を森林が占める全国有数の森林県です。豊かな森林資源を背景に、全国平均を大きく上回るスギ・ヒノキを中心とした人工林が広がっています。

この記事では、徳島県の森林・林業の現状林業を学べる場所支援制度年収など、徳島県で林業を始めたい方に役立つ情報をまとめています。

徳島県での林業への第一歩の参考にしていただければ幸いです。

各都道府県の森林・林業の特徴について読んでみる

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林業 求人
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  • 目次
      1. 徳島県の基本情報
      2. 徳島県の森林の現状
        2.1 徳島県全体の特徴
        2.2 地域による特徴
      3. 徳島県の林業について
        3.1.林業経営体の数
        3.2.林業従事者の推移
      4. 徳島県で林業について学べる場所・支援先
        4.1.とくしま林業アカデミー
        4.2.三好林業アカデミー
        4.3.とくしま農林水産チャレンジセンター
        4.4.(公益財団法人)徳島県林業労働力確保支援センター
      5. 林業従事者の1日と年収【徳島県編】
        5.1.仕事の流れ
        5.2.林業従事者の年収
        5.3.働く人の声
      6. 徳島県の林業に関するよくある質問
        6.1.徳島県で林業を始めるには?
        6.2.徳島県に移住するには?
      7. まとめ

1. 徳島県の基本情報

まずは、徳島県の基本情報について紹介します。

都道府県名 徳島県
所在地 四国地方
人口

約68万人(2025年)

面積

約4,147㎢

県庁所在地

徳島市

森林面積 約31.5万ha
森林率 約76%
主な樹種 スギ・ヒノキ・マツ

徳島県は四国の東側にあり、北部に讃岐山脈、南部に四国山地が連なり、中央部を吉野川が流れる平野部が広がるといった特徴があります。
県土の約4分の3を森林が占め、剣山などの名峰や吉野川といった自然資源に恵まれた地域です。

古くから関西と結びつきが強く、大鳴門橋やフェリーを通じて今も近畿圏との往来が盛んです。そのため、文化や経済活動にも関西の影響が色濃く残っています。

気候はおおむね温暖ですが、夏から秋にかけて降水量が多く、台風の影響を受けやすい地域です。平地では冬の雪は少ない一方、山間部では冷え込みや積雪、路面凍結も見られます。

産業面では、化学工業や電子部品の製造が中心です。加えて、すだちや鳴門金時などの農産物、阿波牛や阿波尾鶏といった畜産品も名高く、林業漁業も地域経済を支えています。

2. 徳島県の森林の現状

次に、徳島県の森林について、県全体と地域の特徴を見ていきます。

2.1.徳島県全体の特徴  

徳島県は、県土面積の76%を森林が占める全国でも有数の森林県です。

徳島県全体の森林面積は約315千haで、そのうち94%(296千ha)を民有林が占めています。

とくに注目すべきは、民有林の82%にあたる258千haが個人の所有する私有林である点です。この私有林の割合の高さは、全国的にも高くなっています。

また、民有林面積の約62%はスギやヒノキなどの人工林です。これは、全国平均の40%を大きく上回る割合であり、蓄積量は年々増え続けています。樹種別に見ると、スギが約73%を占め、次いでヒノキが約20%、マツが約5%という割合です。

現在、徳島県の人工林の多くは樹齢45年以上(10齢級)となり、伐採期を迎える木が増えています。そのため、計画的な木材生産と伐採後の再造林が、全国的な課題と同様に重要になっています。
▶令和7年度みどりの要覧と林業統計 

2.2 地域による特徴

徳島県の森林は、地形や気候の特性に応じて、「北部」「中部」「南部」の3つの地域に分けられ、それぞれ異なる特徴を持っています。

  • 北部地域:吉野川下流域や鳴門市周辺に位置し、比較的平地が多い地域です。農業や都市部に隣接するため森林面積は少なめですが、古くから薪炭林として利用されてきた雑木林が点在しています。また、吉野川沿いでは氾濫原林が広がり、地域の暮らしと密接に関わってきました。

  • 中部地域:吉野川流域を中心に広がる地域で、スギやヒノキの人工林とともに広葉樹も混在する多様な植生が特徴です。とくに神山町などでは人工林の割合が高く、良質な木材を生産しています。吉野川上流域は古くから木材の集散地として栄え、林業技術の蓄積も豊富です。

  • 南部地域:海部郡や那賀郡にあたり、四国山地から太平洋へと続く急峻な地形が特徴です。県内でも林業の中心地として知られ、那賀町などでは高品質なブランド材「徳島すぎ」が生産されています。中でも、那賀町木頭地区で産出される「木頭杉(きとうすぎ)」は、温暖多雨な気候と豊かな土壌で育ち、ねばりが強く高い耐久性を持つことで知られています。
    降水量が多く温暖な気候のため、スギやヒノキとともにシイやカシなどの常緑広葉樹も多く分布。近年は森林資源を活かした地域振興が進められており、木材加工や木質バイオマス利用の取り組みも盛んです。

徳島県は、生しいたけの生産量が全国第1位であることでも知られています。また、「徳島すぎ」は、その耐久性や美しい木目で高い評価を受けています。

3. 徳島県の林業について

次に、徳島県の林業を支える経営体と、そこで働く林業従事者の推移を理解しておきましょう。

3.1.林業経営体の数

徳島県内の林業経営体は2020年には264経営体です。2015年には1,001経営体ありましたが、約74%も減少しています。
さらに、264の経営体のうち法人化しているのは、わずか24経営体です。個人経営体の減少が顕著です。

また、県内にある経営体のうち国が実施する「緑の雇用」事業を利用できる認定事業体は、34社が登録されています。
「緑の雇用」は、研修費用を国が支援してくれる制度です。働きながら必要な資格や技術が取得できますので、未経験からでも安心して林業に挑戦できます。

認定事業体については、徳島県林業労働力確保支援センターの「県内の認定林業事業体」をご覧ください。

県内には独自の研修や教育に努める事業体もありますので、気になる事業体があれば、積極的に問い合わせてみましょう。
徳島農林水産業の現状

▶関連記事:「緑の雇用とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!

3.2.林業従事者の推移

全国と同様に、徳島県でも林業従事者の減少と高齢化が課題となっています。
1995年には、1,255人でしたが、年々減少し2020年には761人まで減少しました。

65歳以上の割合では、2015年には29%でしたが、2020年に21%と大きく下がっています。
さらに、35歳未満の割合は、2015年では10%から14%まで高くなっています。

林業従事者の推移は、以下のとおりです。

  従事者数 65歳以上の割合 35歳未満の割合
1995年 1,255人 20% 6%
2000年 846人 26% 9%
2005年 604人 29% 10%
2010年 837人 17% 15%
2015年 822人 19% 16%
2020年 761人 21% 14%

徳島県では、「とくしま林業アカデミー」の開校や林業移住者により、新規就業者が毎年誕生していますが、まだまだ高齢就業者の割合が高く、若い担い手確保が必要と言えるでしょう。
徳島県林業労働安全衛生推進大綱(令和5年度~令和9年度)

4.徳島県で林業について学べる場所・支援先

徳島県には、林業の基礎から実践まで学べる教育機関や支援先があります。

4.1とくしま林業アカデミー

徳島県では豊かな森林資源を背景に、現場の即戦力となる人材を育成することを目的に、平成28年、「とくしま林業アカデミー」が開講されました。

概要は、以下のとおりです。

期間 1年
募集定員 30名程度

対象者

  • 18歳以上の者
  • 徳島県内の市町村に住民登録をしている者
  • 研修終了後、徳島県内で林業に就業する者 など
費用 無料(資格試験費用、入学金、研修費用など)


とくしま林業アカデミーでは、主に以下の資格を取得できます。

  • 伐木等の業務に係る特別教育修了証
  • 刈払機取扱作業者安全衛生教育修了証
  • フォークリフト運転技能講習修了証
  • 玉掛技能講習修了証
  • 車両系建設機械運転技能講習修了証
  • 小型移動式クレーン運転技能講習修了証
  • 走行集材機械運転業務特別教育修了証
  • 伐木等機械運転業務特別教育修了証
  • 簡易架線集材装置等運転業務特別教育修了証
  • 機械集材装置運転業務特別教育修了証
  • 狩猟免許

研修では新植から伐採まで、最新鋭の林業機械を使い、実践的なスキルを習得できます。
高いスキルと意欲ある林業人材の育成に努め、これまでの第1期から第9期までの修了生の就業率は100%を達成。全員が徳島県内の森林組合や林業会社に就職し、職場で活躍するなど高い実績をあげています。

さらに、年間最大155万円の「緑の青年就業準備給付金制度」もあり、安心して学習に専念できる環境が整っています。
とくしま林業アカデミー

4.2.三好林業アカデミー

三好林業アカデミーは、2023年に現場の技術や技能を持った人材育成を目的に、三好市が主体となり開校されました。県西部地域における林業人材育成の拠点として機能しています。

概要は、以下のとおりです。

期間 1年
募集定員 5名程度

対象者

  • 18歳以上の者
  • 徳島県内の市町村に住民登録をしている者
  • 研修終了後、徳島県内三好市内で林業に就業する者 など
費用 無料(資格試験費用、入学金、研修費用など)

三好林業アカデミーでも、とくしま林業アカデミーと同様の資格取得が可能です。

また、「緑の青年就業準備給付金制度」を活用できます。
第1期生の就職率は100%と、多くの林業現場で活躍中です。
▶三好林業アカデミー

4.3.とくしま農林水産チャレンジセンター

徳島県への農業・林業・水産分野への就業やスキルアップを目指す方向けに、研修情報をまとめて紹介しています。

林業分野では、就業希望者向けの「就業コースのほか、林業従事者のスキル向上を図る「リスキリングコース植林作業を体験できる「体験コースが用意されています。

林業への新規就業からスキルアップまで、幅広いニーズに対応した情報がまとめられていますので、チェックしておきましょう。
とくしま農林水産チャレンジセンター

4.4.(公益財団法人)徳島県林業労働力確保支援センター

徳島県林業労働力確保支援センターは、林業への新規参入や林業事業体における雇用改善や事業の合理化の促進を目的にした団体です。

徳島県林業労働力確保支援センターでは、林業の特徴紹介求人情報の掲載林業就業支援講習や林業体験の実施県内の「認定林業事業体」の閲覧が可能です。
(公益財団法人)徳島県林業労働力確保支援センター

5.林業従事者の1日と年収【徳島県編】

実際の仕事内容や給与について、具体的に知りたい方も多いでしょう。

徳島県で林業を行っている、「美馬森林組合」の1日の流れや年収を紹介します。

5.1.仕事の流れ

「美馬森林組合」は、徳島県美馬市を拠点に置き、森林の保続培養森林生産力の増進を図ることを目的とする団体です。

1日の仕事の流れ(一例)を見ていきましょう。

7:30 出勤。事務所に集合し点呼。社有車を利用して各現場へ移動。
9:00 現場到着。ストレッチをしながら本日の業務内容を打合せ。始業前点検等。
10:00 担当業務開始(適宜休憩をはさみながら)
12:00 お昼休み
13:00 午後の業務開始(適宜休憩をはさみながら)
15:30 作業現場の片付け、清掃など
16:00 社有車を利用して事務所へ戻る
17:00 退勤

主な業務内容は、チェーンソー・草刈機等を使用した新植・除伐・林道清掃や高性能林業機械を使用した木材の伐採・搬出など多岐にわたります。

5.2.林業従事者の年収

林野庁の調査によると、林業従事者の平均年収は、約300万円です。

未経験から10年ほどの林業従事者は、年収が200万~400万円前後。11年以上になると、管理業務や任せられる仕事内容によって、250万~600万円と幅が広がります。

年収は経験や保有資格、地域、雇用形態などによって金額に差が出る傾向にあります。

「美馬森林組合」の給与や休日、福利厚生を見ていき、イメージしてみましょう。

給与 月給184,000円以上(高卒未経験の場合)
賞与年2回、業績賞与あり
休日・休暇
  • 完全週休2日制
  • 年間休日113日
  • 夏季休暇、年末年始休暇
  • 有給休暇(令和6年度取得実績94%)
  • 慶弔休暇
福利厚生
  • 退職金共済加入
  • 安全防具品支給(ヘルメット、防護ズボン等)
  • 各種免許資格等取得支援制度
  • 健康診断
  • 有給休暇(入社日から6ヶ月後に10日付与)
  • 忌引休暇

求人情報の詳細は、「RINDO」の求人ページをご覧ください。RINDOでは、全国の求人情報が掲載されていますので、ほかの県の求人内容の比較をしてみるのもよいでしょう。

5.3.働く人の声

「とくしま林業アカデミーの卒業生」や「美馬森林組合」で働く人の声を紹介します。

  • 美馬森林組合の従業員の声
    未経験から林業に挑戦しましたが、緑の雇用で研修もあったので、徐々にスキルアップできました。移動時間や休憩中も班のみんなと気軽に話せるので、職場にもすぐ打ち解けられます。ここでは経験や年齢に関係なく、みんなが支え合いながら働けています。有休も取りやすく突発的な休みも「お互い様」という雰囲気なので、家族や自分の時間を大切にできるのがありがたいです!

  • とくしま林業アカデミーの卒業生の声
    親戚にアカデミーを紹介されたのがきっかけです。林業については全くの素人だったので、アカデミーで基礎からしっかり学べたのはよかったですね。

    就職して実際に働きだすと、日々の仕事の中で細かなことをゆっくり学ぶことは難しいです。現場で複雑な作業を行なう時にもアカデミーで基礎を学んでいるので技術の習得や理解が早くできてるなと感じることがあります。現在は(株)樫谷林業で働いています。自分を信じて仕事を任せてくれるのでいつもやり甲斐があります。
    県外企業(中部地方)からのIターン入学の方のインタビューから抜粋

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林業 求人
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6.徳島県の林業に関するよくある質問

最後に、徳島県の林業に関するよくある質問をまとめました。

6.1.徳島県で林業を始めるには?

徳島県で林業の仕事を始めるには、まずは「情報収集」から始めましょう。

徳島県で林業を始める流れは、以下のとおりです。

  • 情報収集・相談:徳島県林業労働力確保支援センター・森林組合・ハローワークなどで情報を集める
  • 体験・見学:林業体験や現場見学会に参加して仕事を理解
  • 研修・資格取得:とくしま林業アカデミーや三好林業アカデミーを活用
  • 求人応募・就業:森林組合や林業事業体へ応募。「緑の雇用」制度や自社の研修で資格を取得

林業の仕事を探す上での主なサポート先は以下の通りです。

  • 徳島県林業労働力確保支援センター(就業相談・職業紹介)
  • とくしま林業アカデミー(研修・資格取得)
  • 三好林業アカデミー(県西部地域)
  • ハローワークや林業専門求人サイト「RINDO」(求人情報)

これらの情報を参考に、徳島県で林業の第一歩を踏み出してみましょう。

6.2.徳島県に移住するには?

徳島県には、徳島県への移住を検討している方は、移住ポータルサイト「住んでみんで 徳島で!」が役立つでしょう。このサイトでは、移住支援制度や住まい・仕事探し、子育て支援など、生活全般に関する情報が網羅されています。

林業の新規就業者や移住者をサポートする体制も整っています。就業相談や研修制度については、とくしま林業アカデミーやとくしま農林水産チャレンジセンターのウェブサイトで確認可能です。

「徳島移住を検討している方へ|暮らしの魅力・支援制度・人気の地域5選を紹介
」でも、徳島移住に関する情報をまとめていますので、あわせてご覧ください。

7.まとめ

今回は、徳島県の森林・林業の現状から、仕事の始め方、年収までを解説しました。

徳島県は、県土の76%を森林が占める全国有数の森林県です。人工林率が全国平均を大きく上回り、スギやヒノキを中心とした質の高い木材生産が盛んにおこなわれています。

近年は林業従事者の減少や高齢化が課題となっていますが、「とくしま林業アカデミー」をはじめとする充実した研修制度や、「緑の雇用」制度など、新規就業をサポートする体制が整っています。

林業に興味を持った方は、徳島県の豊かな自然の中で、林業の仕事を始めてみませんか?「RINDO」では、林業に関する情報や全国の求人を紹介しています。気になる点や疑問点がある場合は、お気軽にお問い合わせください。

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