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青森県の森林・林業の現状は?学べる場所・支援情報まとめ

青森県は、豊かな自然と広大な森林に恵まれた地域です。
森林は、私たちの暮らしを支えるだけでなく、林業という重要な産業の基盤にもなっています。
この記事では、青森県の森林・林業の現状や特徴、そして林業を目指す方が利用できる支援先や学べる場所について詳しく解説します。
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- 目次
1. 青森県の基本情報
まずは、青森県の基本情報について紹介します。
都道府県名 | 青森県 |
所在地 | 東北地方 |
人口 |
約115万人(2025年7月) |
面積 |
約9,645㎢ |
県庁所在地 |
青森市 |
森林面積 | 約63.4万ha |
森林率 | 約66% |
主な樹種 | スギ・アカマツ・青森ヒバ・ブナ |
青森県は本州の最北端に位置し、地理的には津軽半島・下北半島・南部地方の3つのエリアに分かれています。三方を日本海、太平洋、津軽海峡に囲まれ、海産物が豊富です。
主要産業には農林水産業、製造業、観光業などがあります。
伝統行事では「ねぶた祭」が全国的に有名で、農業分野ではりんごの生産量が日本一を誇ります。また、世界自然遺産に登録された白神山地や観光名所の十和田湖など、自然と文化の両方に恵まれた地域です。
2. 青森県の森林の現状
次に、青森県の森林について、県全体と地域の特徴をみていきます。
2.1.青森県全体の特徴
青森県の森林は県土の約66%を占め、面積は約63.4万ヘクタールで全国9位です。人工林は全体の42%で、天然林の方が多くなっています。
また、森林の約3分の2はスギやアカマツ、ヒバなどの針葉樹で構成。日本三大美林の一つに数えられる「青森ヒバ」は、優れた耐久性と抗菌性から建材などに重宝されています。また、スギの人工林面積は全国第4位で、林業が盛んな地域です。
一方、残りの約3分の1は、ブナやミズナラなどの広葉樹林です。世界自然遺産である白神山地のブナ原生林は、その代表例。豊かな生態系を育むだけでなく、水源涵養や土砂災害防止といった重要な役割も担っています。
森林の約62%は国有林、約38%は個人や企業が所有する民有林です。民有林は人工林・天然林ともに若齢級が少なく、齢級に偏りがあります。また、全体の約8割は樹齢41年以上(9齢級以上)で、伐採期を迎えており、木材生産に適した資源が豊富です。
▶青森県の森林・林業(令和6年度)
2.2 地域による特徴
青森県は、「津軽」、「下北」、「南部」の3つの地域に分けられ、それぞれ異なる森林の特徴を持っています。
- 津軽:白神山地をはじめとするブナの原生林が広がり、世界遺産に登録された地域です。多雪地帯のため、ブナやミズナラといった落葉広葉樹が多く、豊かな生態系を育んでいます。
- 下北:冷涼な気候と乾燥した土壌が青森ヒバの生育に適しており、高品質なヒバ材の産地です。
- 南部:比較的温暖な気候で、スギの人工林が多く林業が盛んな地域です。奥入瀬渓流や十和田湖周辺では、ブナやカツラなどの広葉樹林が広がり、紅葉の時期には多くの観光客で賑わいます。
さらに、津軽半島西海岸や下北半島東部には、江戸時代から続くクロマツを主体とした海岸防災林が整備されており、地域の暮らしを守っています。
3. 青森県の林業について
次に、青森県の林業を支える経営体と、そこで働く林業従事者の現状を理解しておきましょう。
3.1.林業経営体の数
青森県内の林業経営体は、2020年には678経営体で、2015年の2,059経営体から約67%減少しています。
また県内にある経営体のうち「緑の雇用」事業を利用できる認定事業体は、66社です。
「緑の雇用」は、認定事業体に就業した方のみ活用でき、費用は国が支援してくれます。働きながら必要な資格や技術が取得できますので、未経験からでも安心して取り組める制度です。
詳しくは、青森県内の「認定事業体一覧」をご覧ください。
また、県内には独自の研修や教育によって技術取得に努める事業体もあります。気になる事業体があれば、積極的に問い合わせてみましょう。
▶青い森オープンデータカタログ
▶関連記事:「緑の雇用とは?内容やメリット、取れる資格などを徹底解説!」
3.2.林業従事者の推移
青森県内での林業就業者数は、2020年では1,640人でした。
1985年には5,300人いましたが、年々減少し2005年には1,560人にまで減少しました。
その後、一時増加しましたが就業者減少が進んでいます。
さらに、60歳以上の高齢就業者の割合は約30%を占め、全国と同様に高齢化が大きな課題です。
青森県の林業就業者数と年齢層の内訳は、以下のとおりです。
〜39歳 | 40歳〜49歳 | 50歳〜59歳 | 60歳〜 | 合計 | |
1975年 | 783人 | 1,736人 | 2,359人 | 422人 | 5,300人 |
2005年 | 270人 | 223人 | 506人 | 561人 | 1,560人 |
2010年 | 498人 | 322人 | 469人 | 619人 | 1,908人 |
2015年 | 475人 | 327人 | 388人 | 602人 | 1,792人 |
2020年 | 431人 | 319人 | 342人 | 548人 | 1,640人 |
青森県では、県内にある「青い森林業アカデミー」の卒業生が各地で活躍するようになり、新たな担い手として期待されています。
▶青森県の森林・林業(令和6年度)
4.青森県で林業について学べる場所・支援先
青森県には、林業の基礎から実践まで学べる教育機関や支援先があります。
青森県内の林業支援先についてみていきましょう。
4.1青い森林業アカデミー
青い森林業アカデミーは、2021年4月に開校した現場技術者を育成する学校です。1年間で林業の知識・技術を学び、現場実習を通じてスキルを習得します。
概要は以下のとおりです。
期間 | 1年 |
募集定員 | 10名 |
対象者 |
|
費用 | 118,800円/年(別途作業服、テキスト代等が必要) |
取得可能な資格は、主に以下の6つです。
- 伐木業務従事者
- 刈払機取扱作業者
- 車両系建設機械(整地等)運転(3t以上)
- 伐木等機械運転
- 走行集材機械運転
- 簡易架線集材装置運転
授業は実習がメインとなり、就業に必要な技術と安全意識は反復練習によって習得していきます。
就業体験(インターンシップ)を通じて、実際に働くイメージをつかめますし、就業支援も充実。多くの先輩が、卒業後には民間企業や森林組合へ就職しています。
青い森林業アカデミーでは、研修終了後、1年以内に林業分野に就業し地域林業の中核を担う意志のある方に対して、「緑の青年就業準備給付金制度」を利用可能です。
▶青い森林業アカデミー
4.2.青森県林業労働力確保支援センター(公益社団法人 青森県林業会議)
青森県林業労働力確保支援センターは、林業事業体がおこなう雇用管理改善や就業支援を実施するため、2021年に青森県知事から指定を受けました。
林業就業希望者に対する主な支援内容は、以下のとおりです。
- 無料職業紹介
- 特殊健康診断受診経費助成
- 抗体検査受診経費の助成
- 林業労働災害防止のための安全衛生再教育の実施
- 高性能林業機械システム研修の実施など
林業従事者の健康管理や安全対策などをサポートしてくれます。
▶青森県林業労働力確保支援センター
5.林業従事者の1日と年収【青森県編】

画像提供:ファーストプライウッド株式会社様
実際の仕事内容や給与について、具体的に知りたい方も多いでしょう。
青森県で林業をおこなう「ファーストプライウッド株式会社」の1日の流れや年収を紹介します。
5.1.仕事の流れ
「ファーストプライウッド株式会社」飯田グループホールディングスの一員で、県内トップクラスの規模を誇る木材製造企業です。
仕事の流れ(一例)をみていきましょう。
8:00 | 出勤 |
9:00 | 事務仕事 |
10:00 | 休憩(15分) |
10:15 | 交渉業務 |
12:00 | 昼休憩(60分) |
13:00 | 社有林の巡視 |
15:00 | 休憩(15分) |
15:15 | 企画書作成 |
17:30 | 退勤 |
主な業務内容は、社有林の管理運営や再造林、保育事業の計画立案、伐採事業の計画立案など、多岐にわたります。業務内容によって一日の作業も変わります。
5.2.林業従事者の年収

引用元:林野庁
林野庁の調査によると、未経験から10年ほどの林業従事者は、年収が200万円〜400万円前後で推移しています。11年以上になると、管理業務や高い技術を求められる仕事も増えるため、250万円〜600万円と幅が広がります。
しかし、年収は経験や保有資格、地域、雇用形態などによって金額に差が出る点も特徴です。
例として、ファーストプライウッド株式会社の給与や休日、福利厚生からイメージしてみましょう。
給与 | 月給200,000円~450,000円 ※住宅手当・家族手当・通勤手当(実費支給上限有り)あり。 ※業績賞与有り(前年実績3か月)、昇給有り(前年実績 昇給率1.9%/月) |
休日・休暇 |
|
福利厚生 |
|
求人情報の詳細は、「RINDO」の求人ページをご覧ください。
5.3.働く人の声
「ファーストプライウッド株式会社」で働く声もみておきましょう。
- 工場に入った瞬間に感じる木の香りが、すごく心地いいんです。毎日自然を身近に感じながら仕事ができるのが、この会社ならではの魅力だと思います。
同世代の若い社員も多く、仕事中だけでなく休憩中もいろんな話で盛り上がれるので、自然と友達もできます。毎年創立記念日に、社員全員で木を植えるイベントもあって、みんなで協力して森を育てている実感を持てるのが楽しいです。
- この仕事の一番の魅力は、山を創るという面白さ。計画を立てて森づくりを進めていく過程は、まるで未来をデザインしているようで毎日がワクワクします。
休みが多く福利厚生も充実していて、社員寮も安価なので、生活面でも安心して働けます。資格取得も会社が全額サポートしてくれるし、何と言っても会社が安定しているので、長く腰を据えてキャリアを積んでいける環境だと思います。
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6.青森県の林業に関するよくある質問
最後に、青森県の林業に関するよくある質問をまとめました。
6.1.青森県の森林や林業の特徴は?
森林率が高く、県土の約66%を占めます。スギ、ヒバ、アカマツなどの針葉樹が中心で、とくに「青森ヒバ」は有名です。日本三大美林の一つに数えられ、優れた耐久性と抗菌性から建材などに重宝されています。
6.2.青森県で林業の仕事を始めるには?
青森県で林業を始める流れは、以下のとおりです。
就業までの流れ
- 情報収集・相談
→ 青森県林業労働力確保支援センター・森林組合・ハローワークなどで情報を集める
- 体験・見学
→ 林業体験や現場見学会に参加して仕事を理解
- 研修・資格取得
→ 「緑の雇用」制度や青い森林業アカデミーを活用
- 求人応募・就業
→ 森林組合や林業事業体へ応募
主なサポート先- 青森県林業労働力確保支援センター(就業相談・職業紹介)
- 青い森林業アカデミー(研修・資格取得)
- 林業求人サイト「RINDO」(求人情報)
青森県で林業の仕事を始めるには、上記の流れを参考に情報収集からスタートしてみましょう。
6.3. 「緑の雇用」に対応している事業体は?
未経験では、働きながら技術習得できるのか心配な方も多いでしょう。
「緑の雇用」制度を活用すれば、研修中も給与が支給され未経験でも安心してスキルを身につけられます。
青森県内の「緑の雇用」制度に対応している事業体は、66社です。多くの林業事業体がこの制度を活用して新規就業者を受け入れています。
具体的な事業体については、「認定事業者一覧」をご覧ください。
7.まとめ
今回は、青森県の森林や林業の特徴についてみていきました。
青森県は、豊かな森林資源を背景に、歴史と伝統ある林業が営まれている地域です。スギやヒバに代表される針葉樹林は、地域の主要な産業として私たちの暮らしを支えています。
近年、林業従事者の減少や高齢化といった課題がある一方で、高性能な林業機械の導入や若者を対象とした就業支援制度の充実など、新しい取り組みも活発におこなわれています
ぜひ青森県の豊かな自然の中で、林業の仕事をはじめてみてはいかがですか。
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