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林業の熱中症対策5選|危険性や安心できる職場選びのコツを紹介

「林業の夏場作業は大変そう」
「しっかり対策していれば熱中症は防げるの?」
「どんな現場なら安心して働けるの?」
林業は自然の中で働けるやりがいのある職業ですが、夏場の熱中症対策は重要な課題です。
2024年において、全産業における熱中症死傷者数は過去最多となっており、林業でも毎年、熱中症にかかる作業者が出ています。
本記事では、林業現場で実践できる熱中症対策や、安全な職場を見極めるポイントについて解説します。
現場で働く方はもちろん、これから林業を始めたい方も、安全に作業するために最後までご覧ください。
- 目次
- 林業の熱中症リスクが高い3つの理由
1-1|蒸し暑い中での重労働
1-2|熱がこもりやすい作業服
1-3|一人作業で異変に気づかれにくい- データから見る熱中症の実態
2-1|熱中症死傷者数の推移
2-2|林業における熱中症発生状況
2-3|発生時期と時間帯の特徴
- 林業現場で実践したい熱中症対策5選
3-1|水分と塩分のこまめな補給
3-2|空調服・冷感インナーの活用
3-3|作業前の体調チェック
3-4|涼しい休憩場所の確保と定期的な休息
3-5|チームでの声かけと緊急対応の準備
- 後悔しない林業職場選びの3つのコツ
4-1|装備の支給状況を確認する
4-2|作業時間や休憩のルールが明確かを確認する
4-3|研修や安全教育がしっかりしているかを見る- 林業の求人は「RINDO(リンドウ)」で見つけよう
- 「林業と熱中症対策」についてよくある質問
6-1|林業って夏は本当に危険なんですか?
6-2|空調服や塩分補給だけで熱中症は防げますか?
6-3|未経験でも熱中症対策が整った職場で働けますか?- まとめ
1.林業の熱中症リスクが高い3つの理由

画像提供:ファーストプライウッド株式会社様
林業は、夏場に熱中症のリスクが高まる産業のひとつです。
その主な理由は、「蒸し暑い中での重労働」「熱がこもりやすい作業服」「一人作業で異変に気づかれにくい」の3点です。
夏場の林業現場ならではの危険性を理解して、適切な対策をしましょう。
1.1.蒸し暑い中での重労働
林業では、伐採や搬出、下刈りといった体力を消耗する作業が多く、とくに夏場は高温多湿の環境下での重労働になります。
現場の状況によっては、日差しの強さや地面からの照り返しの影響も異なり、作業中の体温上昇リスクが高まる場面もあります。
とくに日本の夏は汗が蒸発しにくいため、体温調節がうまくいかず、熱が体内にこもりやすいのが特徴です。
こまめな水分・塩分補給や十分な休憩などの対策に加え、作業時間の短縮や早朝への作業切り替えなど、柔軟な対応も大切です。
1.2.熱がこもりやすい作業服
林業作業では、防護服やヘルメット、安全靴などの保護具の着用が義務付けられており、安全の確保に欠かせません。
しかし、これらの装備は通気性が低く、熱が体内にこもりやすくなるというデメリットもあります。
とくに重ね着や長袖は、汗の蒸発を妨げるため、体温が下がりにくくなり、脱水症状や熱中症のリスクが高まります。
最近では、吸汗速乾性や通気性に優れた素材を使った作業服も登場しているため、装備の見直しも有効な対策のひとつです。
1.3.一人作業で異変に気づかれにくい
林業では、一人で山に入って作業することも少なくありません。
山林は見通しが悪く、ほかの作業員と離れて作業することが多いため、体調の異変にすぐ気づいてもらえない状況があります。
また、山間部では携帯電話の電波が届かない場所も多く、緊急時の連絡がとれない恐れもあります。
こうした状況では、熱中症の初期症状を見逃すと重症化しやすいことから注意が必要です。
作業前後の声かけを徹底したり、GPS機能付きの無線機を活用したりすることが、有効な対策です。
2.データから見る熱中症の実態
厚生労働省の統計データをもとに、「熱中症死傷者数の推移」「林業における熱中症被災状況」「発生時期と時間帯の特徴」から分析します。
2.1.熱中症死傷者数の推移
厚生労働省の統計によると、労働中の熱中症による死傷者数は年々増加傾向にあり、2024年は1,257人と過去最多となりました。
猛暑の影響や気候変動が背景にあり、現場の暑さ対策がますます求められています。
2.2.林業における熱中症発生状況
2020年から2024年の総死傷者数4,710人のうち、林業の死傷者は39人と全体の約1%となっています。
林業現場は小規模体制で作業することが多く、人手が少ない傾向にあります。そのため、異変の発見が遅れて重症化につながるケースも少なくありません。
建設業の961人や製造業の897人と比較すると死傷者数は少なく見えますが、毎年熱中症が発生していることから、林業現場での対策が重要です。
2.3.発生時期と時間帯の特徴
熱中症の発生は7月・8月に集中しており、全体の約8割。2024年の死傷者数1,257人のうち、1,019人(約81%)が2か月間に発生しています。死亡者の31人中、30人が同時期に集中しています。
過去5年でも同様の傾向が見られており、熱中症は夏季にとくに警戒が必要です。
また、発生時間帯は午前10時から11時、午後3時から4時の時間帯が多く、日差しや気温のピークと重なっています。一方で、夕方以降に症状が現れたり、帰宅後に急変するケースも少なくありません。日中は元気に見えても、体調が急変することもあるため油断は禁物です。
作業中だけでなく、終了後も水分補給や休憩をこまめにとること、異変を感じたらすぐに対応することが命を守るカギとなります。
参考:厚生労働省「2024年(令和6年) 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
3.林業現場で実践したい熱中症対策5選

画像提供:高野山寺領森林組合様
現場で働く林業作業員が今日から実践できる、効果的な熱中症対策を5つ紹介します。
- 水分と塩分のこまめな補給
- 空調服・冷感インナーの活用
- 作業前の体調チェック
- 涼しい休憩場所の確保と定期的な休息
- チームでの声かけと緊急対応の準備
順番に見ていきましょう。
3.1.水分と塩分のこまめな補給
水分補給は、喉が渇く前にこまめにとるのがポイントです。
喉の渇きを感じた時点で、体はすでに軽い脱水状態に陥っています。林業作業では、1日にたくさんの汗をかくため、定期的な水分摂取が命を守る行動につながります。
効果的な補給方法は、1時間に200〜250mlを目安に少量ずつにわけて飲むこと。一度にたくさん飲むと胃腸に負担がかかり、かえって体調不良を招く恐れがあるので注意しましょう。
加えて、同時に塩分やミネラル補給も大切です。
大量の発汗により失われる電解質(ナトリウム、カリウム、マグネシウム)が不足すると、筋肉のけいれんや意識障害を引き起こしてしまいます。塩タブレットや梅干し、スポーツドリンクなどが良いでしょう。
水分と塩分は同じタイミングで補給することで、体内の電解質バランスを効果的に維持できます。
3.2.空調服・冷感インナーの活用
空調服は、林業現場での熱中症対策として効果的です。
小型ファンが服の内部に風を循環させ、汗の蒸発を促進して体感温度を下げる効果があります。とくに、風通しの悪い作業現場で効果を発揮します。
選び方のポイントは以下の通りです。
- バッテリーの持続時間:作業時間の間使用可能(最低8時間以上)
- 重量:軽量であること(500g以下) など
さらに、冷感インナーとの組み合わせは、より効果的です。吸汗速乾性に優れた素材のインナーウェアを着用して、空調服を重ねれば、快適性と安全性を両立できます。
林業作業では、枝や葉による引っ掛かりに強い生地や、チェーンソー作業時に安全性が確保できる商品選びもポイントです。
初期投資はかかりますが、医療費や離職リスクを防ぐ意味でも費用対効果は高いと言えます。
3.3.作業前の体調チェック
作業前の体調チェックは、熱中症を未然に防ぐ対策のひとつです。
体調不良の状態で高温環境で作業することは、熱中症発症のリスクを高めます。
判断基準を決めて体調チェックを実施すると良いでしょう。
たとえば、以下のような項目を判断基準とすると効果的です。
- 前夜の睡眠時間(例:6時間以上など)
- 朝食の摂取状況
- 前日の飲酒量
- 起床時の体調 など
睡眠不足や飲酒は、体温調節機能を低下させる恐れもあるため、前日の生活習慣も大切なチェックポイントです。
少しでも異常を感じた場合は、無理をせず作業内容の調整や休養するなどの命を守る行動をとりましょう。
3.4.涼しい休憩場所の確保と定期的な休息
休憩は体温を下げ、疲労を回復させる貴重な時間です。
風通しの良い日陰やエアコン付きの車両、仮設休憩施設があれば積極的に活用しましょう。
こうした場所がない場合は、携帯型扇風機やミストファン、冷却タオルなどの道具を使うのも効果的です。とくに濡れタオルで首元や手首、足首を冷やすと、効率的に体温を下げられます。
休憩中は体を横にして心臓への負担を軽減し、水分・塩分補給も忘れずにおこないましょう。
休憩は疲労回復だけではなく、体温管理にも欠かせない時間であり、とくに暑い時期は意識的な対策が求められます。
3.5.チームでの声かけと緊急対応の準備
林業現場では個人作業が多く、熱中症の初期症状を見逃しやすい環境にあります。
そのため、チームメンバー同士の積極的な声かけが大切です。
「水分は十分にとっているか?」や「体調どうか?」など、簡単な声かけを習慣化し、年配の作業員や新人はとくに注意深く観察しましょう。
緊急時の対応準備も不可欠です。
山間部では、救急車の到着に時間がかかる場合もあるため、チーム内での初期対応が重要です。
症状の対応方法や役割分担(救護担当、連絡担当、誘導担当)、緊急連絡先一覧、最寄り医療機関の情報などを事前に共有しておきましょう。
定期的な救急講習の受講や、緊急事態を想定した訓練をおこなうなど、チーム全体の対応能力向上が大切です。
4.後悔しない林業職場選びの3つのコツ

画像提供:ヤマコ様
林業の職場を選ぶときに、熱中症対策がしっかりしているかどうかはとても重要なポイントです。
安心して長く働ける職場かどうかを見極めるために、以下の3つのポイントをチェックしてみましょう。
- 熱中症対策装備の支給状況
- 作業時間や休憩のルールが明確さ
- 研修や安全教育が充実度
転職や就職活動の際の判断材料として、役立ててください。
4.1.装備の支給状況を確認する
会社がどれだけ暑さ対策に力を入れているかは、支給される装備からも確認できます。
確認したいポイント
- 空調服や冷却グッズが支給・補助されるか
- 防護具の更新頻度や品質管理体制があるか
- 個人の体格・好みに合わせた装備選択ができるか
- 予備バッテリーや装備メンテナンス体制が整っているか
面接時に「どんな暑さ対策装備がありますか?」や「装備はどのくらいの頻度で更新されますか?」と聞いてみましょう。
装備への投資を惜しまない会社は、安全意識が高く、長く働きやすい職場と言えるでしょう。
4.2.作業時間や休憩のルールが明確かを確認する
現場での暑さ対策は「感覚」ではなく、きちんとした基準があるかが大切です。
確認したいポイント
- WBGT指数(暑さ指数)を基準にした作業制限があるか
- 高温時の作業中止や代替作業への対応があるか
- 休憩時間が十分に確保されているか
- エアコン付きの休憩施設や車両が用意されているか
たとえば「WBGT28度以上で30分作業・15分休憩」や「WBGT31度以上で作業中止」などの基準があります。
科学的な基準に基づいて管理されている職場は、体調への配慮がしっかりされ安心です。
4.3.研修や安全教育がしっかりしているかを見る
入社後の教育体制をチェックすることで、その会社がどれだけ社員の安全を大切にしているかが分かります。
確認したいポイント
- 入社時に熱中症対策の研修があるか
- 定期的な安全教育や最新情報の共有があるか
- 未経験者向けの段階的な研修プログラムが整っているか
- 実践を交えた安全スキルの習得が可能か
- 応急処置や緊急時対応のトレーニングが含まれているか
さらに、定期的な安全ミーティングの実施や過去の事故事例の共有など、安全教育に力を入れている会社は、長く安心して働ける環境と言えるでしょう。
5.林業の求人は「RINDO(リンドウ)」で見つけよう
林業の求人を探すときは、林業専門の求人サイト「RINDO」を活用しましょう。
一般的な求人サイトでは分かりづらい、林業特有の労働環境や安全対策の情報を詳しく確認できるのが大きな魅力です。
とくに熱中症対策や装備の支給状況など、安全に関わる情報がしっかり載っているので、未経験者にも安心です。
おすすめポイント
- 現場の雰囲気が写真でよく分かる
作業現場の様子や会社・作業員の雰囲気が写真付きで掲載
実際に働く環境がイメージしやすい
- スタッフのリアルな声が見られる
実際に働いている作業員のインタビューや転職者の体験談を紹介
職場の雰囲気や働き方をリアルに知れる
- 未経験者向けの研修制度が充実
「緑の雇用」の利用可否や各企業の研修制度・資格取得支援の有無を確認できる
- 装備や福利厚生の情報が詳しい
装備支給や福利厚生の内容が詳しく掲載
一日の作業の流れがあり仕事の流れをイメージしやすい
- 検索機能があり条件で絞り込みやすい
地域・条件で検索可能
自分に合った職場を効率よく探せる
RINDOは、林業未経験の方でも安心して応募できる情報が豊富にそろっています。
「安全に」「長く働ける」職場を見つけたいと考えている方に、活用していただきたいサイトです。
6.「林業と熱中症対策」についてよくある質問
最後に、「林業と熱中症対策」についてよくある質問をご紹介します。
Q1. 林業って夏は本当に危険なんですか?
林業は、夏場に熱中症のリスクが高まります。重労働、通気性の悪い装備の着用、一人作業といった要素が重なり、体温が下がりにくい環境にあるためです。
林業現場でも、毎年一定数の方が熱中症にかかっています。しかし、今回紹介した対策を実践することでリスク軽減につながります。
林業の仕事をする際は、命を守るために、日常の対策に取り入れてください。
Q2. 空調服や塩分補給だけで熱中症は防げますか?
空調服や塩分補給は重要な対策のひとつですが、それだけで完全に防げるわけではありません。
体調チェックやこまめな休憩、チーム内の声かけを組み合わせることで、熱中症のリスクを大きく下げることが期待できます。
Q3. 未経験でも熱中症対策が整った職場で働けますか?
はい、働けます。林業専門の求人サイト「RINDO」では、未経験者歓迎・安全対策に力を入れている企業が掲載中です。
実際の現場写真やスタッフの声、装備支給の有無、研修制度なども確認できるため、自分に合った安全な職場を見つけやすいですよ。
7.まとめ
林業は自然の中で働ける魅力的な仕事ですが、夏場の熱中症リスクには十分な注意が必要です。
記事で紹介した5つの熱中症対策を、ぜひ実践してください。
- 水分と塩分のこまめな補給
- 空調服・冷感インナーの活用
- 作業前の体調チェック
- 涼しい休憩場所の確保と定期的な休息
- チームでの声かけと緊急対応の準備
日々の対策に加えて、対策が整った職場選びも命を守るカギになります。
林業専門求人サイト「RINDO」なら、熱中症対策や研修制度、安全装備の情報を事前に確認でき、未経験でも安心して働ける職場が見つかりますよ。
林業は自然の中で働ける素晴らしい職業です。だからこそ、熱中症対策を万全にして、安全で充実した林業ライフを送りましょう。