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民間林業企業の特徴と転職時のポイントを紹介

「林業の仕事に興味があるけれど、どんな会社があるのだろう?」「公務員だけでなく、民間企業でも林業に携われるの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
林業と聞くと、「市町村の林務担当職員」「森林組合」「地域の山主さん」といった公的・準公的なイメージが強いかもしれません。しかし、実は日本の林業を支える多くの事業体は「民間企業」です。近年では、林業に参入する新興企業やスタートアップも現れ、民間ならではのスピード感や柔軟な働き方を求めて転職する人も増えています。
この記事では、林業事業体の基礎知識を押さえたうえで、民間林業企業の特徴や代表的な企業事例、さらに転職時のチェックポイントまで、わかりやすく解説します。
林業への仕事に少しでも興味がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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- 目次
林業事業体とは?
林業事業体とは、森林の管理や木材の伐採・搬出、再造林、森林整備など、森林に関わる作業を実際に担っている事業者の総称です。つまり、日本の森林を守り、育て、活用していく上で“現場の最前線”に立っている組織です。
林業事業体には、主に以下のような形態があります。
- 森林組合
地域の山主(森林所有者)などで構成される協同組合。森林整備の代行や素材生産、苗木の販売などを行い、地域林業の中核を担います。公共性が強く、行政との連携も密接です。 - 民間林業企業
株式会社や合同会社など、民間資本によって運営される事業者。素材生産に加え、製材、木材販売、建築、木製品の企画・開発、森林サービス業など、幅広い分野にビジネスを展開しています。 - 自治体直営または出資の法人
市町村が主体となって設立・運営する林業会社。公共性が高く、地域の森林管理や雇用創出を目的とした取り組みが行われています。
農林水産省の『令和4年度 森林・林業白書』によると、日本全国にはおよそ1万の林業事業体が存在しており、そのうち過半数が民間企業に分類されるとされています。つまり、林業の世界では、私たちが普段なじみのある「企業」も大きな役割を果たしているのです。
林業事業体の仕事は、ただ木を切るだけではありません。森林の価値を将来にわたって引き継ぐために、長期的な視点で森と向き合い、多くの関係者と連携しながら、持続可能な林業を実現することが求められています。
これから林業への転職や就職を考える方は、まずこの「林業事業体」という基本的な枠組みを理解し、具体的に自身がどこで活躍したいか考えると良いでしょう。では、ここからは、民間林業企業の特徴について具体的にみていきます。
民間林業企業の特徴とは?
林業事業体の中でも、近年特に注目されているのが「民間林業企業」です。株式会社や合同会社といった一般的な企業形態をとりながら、森をフィールドに事業を展開するこれらの企業には、公共系の林業組織とは異なる魅力があります。
ここでは、民間企業ならではの特徴を3つの観点からご紹介します。
- 経営の自由度が高い
- 若手や異業種からの転職がしやすい
- 多様な評価制度や報酬体系
では、それぞれの具体的な内容をみていきましょう。
①経営の自由度が高い
民間林業企業の最大の特長の一つは、経営の自由度が高い点です。森林組合や自治体系の林業組織が行政の指導や公共的役割を重視するのに対し、民間企業は自社の理念や戦略に基づいて柔軟に事業方針を決定できます。そのため、素材生産(伐採・搬出)にとどまらず、以下のように多様な分野へ事業を広げているケースが増えています。
具体的には、
- 木材を使ったオリジナル製品の開発・販売
- 林業と観光を掛け合わせたキャンプ場やワーケーション施設の運営
- 地元の木材を使った住宅建築・リノベーション
- 森林空間を活用した自然体験や教育プログラムの企画
- バイオマスエネルギーやカーボンクレジットといった新領域への参入
などの事例があります。
こうした事業は、必ずしも林業の経験が豊富である必要はなく、新たな発想や外部のノウハウを取り入れることで実現可能です。経営層がビジョンを描き、現場がそれをスピード感をもって実行に移す、というフットワークの軽さも民間企業の魅力です。
②若手や異業種からの転職がしやすい
民間林業企業のもう一つの大きな特長は、年齢や職歴にとらわれず、若手や異業種出身者でもチャレンジしやすい点です。
特にベンチャー企業や地域で新たに立ち上がったスタートアップ系の企業では、「林業経験者」に限定せず、「新しい風を吹かせてくれる人材」を積極的に採用する傾向があります。
例えば、
- IT企業出身者がドローンやセンサーを用いた森林モニタリングシステムの開発に関与
- 都市部の広告会社で働いていた人が、地域材を使ったブランド開発や広報を担当
- 教員や保育士だった人が、森林教育や自然体験のプログラムを企画・運営
といったように、異業種のスキルや視点が求められる場面は多くあります。
また、若手であっても自分の提案が通りやすく、新規事業の立ち上げやプロジェクトリーダーに抜擢される機会も企業によってはあります。年功序列の文化が根強い組織とは異なり、成果や意欲に応じた柔軟なポジションづくりが可能です。
実際に、福井県坂井市に本社を構えるロガーワークス株式会社では、アパレル業界・メディア業界から転職された植田真教さんや、建設業界から転職された加納 寛之さんが林業の現場で活躍されています。お二人には、異業種から林業に飛び込んだきっかけや、日々の仕事内容、そして林業の未来について、お話を伺っていますので、興味のある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてくださいね。
▶︎植田真教さんの体験談・インタビューはこちら↓
▶︎加納 寛之さんの体験談・インタビューはこちら↓
③多様な評価制度や報酬体系
民間企業では、公的機関や森林組合と比べて、報酬や評価の制度が多様であることも特徴です。一般的な公的機関では、年功序列や一律の給与体系が基本となることが多いのに対し、民間企業では以下のような仕組みが導入されていることがあります。
- 成果・役割に応じたインセンティブ制度
- ジョブ型雇用による専門職への明確な評価
- 管理職への早期登用
- フレックスタイムやリモートワークなどの柔軟な働き方との連動
例えば、プロジェクト単位で収益に貢献した社員にボーナスを支給したり、森林整備の効率化や新たな販路開拓など具体的な成果がダイレクトに評価に反映される企業もあります。また、若手社員の育成に力を入れている企業では、「成果よりも成長過程を重視する評価制度」を採用しているところもあり、社員の個性や挑戦を尊重する文化が根づいています。
一方で、評価制度が明確に定まっていない企業もあるため、転職時には「どのように評価されるか」「昇給や昇格の基準があるか」といった点を事前に確認しておくことが重要です。
以上が、民間林業企業ならではの特徴です。林業の世界に少しでも興味を持った方は、ぜひ、どんな求人があるのか探してみてくださいね。
次では、実際に注目されている民間企業の事例をいくつかご紹介し、どのような働き方があるのかを具体的に紹介します。
民間林業企業の事例
ここからは、RINDOに掲載されている注目の5社を紹介し、それぞれの企業がどのような形で林業に向き合っているのかを詳しくご紹介します。
①有限会社新林林業
画像提供:有限会社新林林業様
有限会社新林林業様は、秋田県北秋田市に拠点を置き、40年以上にわたり地域の森林整備と素材生産を担ってきた老舗の林業企業です。1977年の法人化以来、長年にわたって地域の森林整備と素材の安定供給に貢献してきました。主に国有林の伐採・搬出業務を請け負っており、同地域における林業の中核的存在ともいえる企業です。
同社の最大の強みは、高性能林業機械をいち早く導入し、作業の効率化と安全性を同時に追求していることです。急峻な地形や降雪が多い秋田の山でも、プロセッサやフォワーダーを使いこなす技術力により、確実に木材を搬出する仕組みを構築しています。これにより、体力面で不安を感じている若手や未経験者でも、安心して現場作業に参加できるのが大きな魅力です。
また、緑の雇用制度や社内研修などを通じて、人材育成にも積極的に投資している点が特徴です。社内にはベテランと若手がバランスよく在籍しており、代替わりを進めながら、次世代の林業を担う人材を育てています。
「林業を仕事として一生続けていきたい」「地域に根ざした企業で働きたい」という方にとって、スキルと信頼の両方を磨ける企業です。
②株式会社エムズ
画像提供:株式会社エムズ様
株式会社エムズ様は、群馬県前橋市に本社を構え、全国各地に拠点を持つ総合林業企業です。「森林資源の持続可能な活用」をテーマに、素材生産、造林、山林の経営管理、林地残材の再資源化など、上流から下流まで幅広い領域をカバーしています。
同社の特徴は、林業を“自然保護”にとどまらない“循環型産業”として捉えている点にあります。伐って終わりではなく、森林の再生と地域経済の活性化まで視野に入れた事業展開を行っており、カーボンニュートラルやSDGsの実現にも積極的に取り組む姿勢が印象的です。
さらに、社員の働きやすさにも配慮した制度が充実しており、週休2日制、社会保険完備、資格取得支援、退職金制度など、民間林業企業としては高水準の待遇を誇ります。全国で複数の勤務地が選べるため、U・Iターン希望者にとっても柔軟に働ける環境です。
「林業を通じて社会貢献したい」「大規模なプロジェクトに携わりたい」「新しい技術や考え方を取り入れた林業に挑戦したい」という方にはぴったりの企業です。
③宮澤木材産業株式会社
画像提供:宮澤木材産業株式会社様
宮澤木材産業株式会社様は、長野県長野市に拠点を構える林業企業で、高性能林業機械を活用した素材生産に強みを持っています。現場では、チェーンソーや重機を使って、立木の伐採から搬出までを効率よく進める体制が整っています。
同社は、「林業=古くて厳しい」というイメージを覆すような、自由で柔軟な働き方を推進している点が特徴です。髪型や服装に厳しい制限はなく、自分らしさを大切にしながら働ける雰囲気があります。社内の人間関係もフラットで、若手社員の意見も積極的に取り入れる社風です。
また、未経験者の採用にも積極的で、入社後は資格取得支援やOJTによって、段階的に現場に慣れていけるよう配慮されています。現在活躍している社員の中には、異業種からの転職者も多く、林業未経験でも安心してスタートを切ることができます。
「自分らしく働きながらスキルアップしたい」「将来的には林業の中核メンバーとして活躍したい」という方にとって、挑戦しやすい環境が整った企業です。
④株式会社ツリーサービス
画像提供:株式会社ツリーサービス様
株式会社ツリーサービス様は、岡山県津山市を拠点に、素材生産・森林整備・造林事業などを展開する地域密着型の林業企業です。地元の森林資源を活かしながら、「持続可能な林業を地域に根付かせる」ことをミッションとしています。
同社のユニークな点は、社員一人ひとりの将来を見据えた“自立支援型”の育成体制です。例えば、林業での独立を希望する人には、重機や作業現場の貸し出しを通じて支援を行うなど、「林業を一生の仕事にしたい」という想いに寄り添った制度があります。
現場では20代から60代まで幅広い年齢層が在籍しており、女性社員や異業種からの転職者も活躍中です。キャリアパスは現場作業にとどまらず、営業、IT導入、業務企画など多岐にわたります。林業に関するスキルを多角的に身につけたい方にとって、理想的なフィールドがあります。
「将来自分の林業ビジネスを持ちたい」「地域に貢献しながら多様な経験を積みたい」という意欲的な方におすすめの企業です。
⑤メジャーフォレストリー株式会社
画像提供:メジャーフォレストリー株式会社様
メジャーフォレストリー株式会社様は、福岡県を拠点に、森林経営、素材生産、木材流通管理などを一貫して担う総合林業企業です。「日本の森林を未来へつなぐ」という理念のもと、環境保全と経済性の両立を追求し、企業としての持続可能性を高めています。
同社の最大の特徴は、明確なキャリア評価制度と安定した報酬体系にあります。等級制度に基づいた昇給・昇格の仕組みが整っており、未経験からスタートしても、段階的にスキルを高めていける育成制度があります。実際、社員の平均年収は400〜520万円と、林業の業界の中でも高水準です。
また、現場作業にとどまらず、木材の販路開拓やデータ管理、森林マネジメントなど、経営視点の業務にも携われるチャンスがあります。「ただ木を伐る」のではなく、「森をどう活かすか」「社会とどうつなぐか」といった広い視野を持って働けることが、この会社の大きな魅力です。
安定した待遇と明確なキャリア形成を望む方、経営にも関わる林業に挑戦したい方には最適な企業です。
その他にも、RINDOでは民間林業企業の求人を多数掲載しています。ぜひ、ご自身の働きたい地域や場所で探してみてくださいね。
民間林業企業に転職する際のポイント
ここからは、民間林業企業に転職する際に押さえておきたい5つのポイントを紹介します。
①事業内容と役割を理解する
民間林業企業といっても、実際に行っている業務はさまざまです。例えば、素材生産(伐採・搬出)を中心とする会社、植林や森林整備を重視する会社、または販売や流通まで一貫して行う企業などがあります。
求人情報を見る際は、「その企業がどの工程を担っているのか」「自分がどの業務に携わることになるのか」をしっかり確認しましょう。実際の仕事がイメージできると、入社後のギャップも少なくなります。
②勤務地と生活環境を調べる
林業は都市部ではなく、山間地域での仕事が基本です。そのため、勤務地がどのような環境か、通勤や移住が必要か、生活インフラは整っているかなども重要な検討ポイントです。
企業によっては、社員寮や社宅、住宅手当が用意されている場合もあります。地域に根ざして働く覚悟が求められるため、「生活する場所としてその土地で暮らしていけるか」を事前に見ておくことをおすすめします。
以下の記事では、各地域ごとの移住情報を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
③労働条件・待遇を比較する
民間林業企業で働く大きなメリットのひとつが、労働条件の多様性です。週休2日制を導入している会社、昇給や賞与の評価制度が明確な会社、資格取得支援や福利厚生が充実している会社など、待遇面は企業によって大きく異なります。
求人情報を比較する際は、単に給与額を見るだけでなく、「働き続けやすい環境かどうか」という視点を持つことが大切です。
④未経験者へのサポート体制を確認する
林業は専門性が高く、危険も伴う仕事です。そのため、未経験者を採用する企業でも、研修制度や指導体制がしっかりしているかどうかが重要なポイントになります。
「緑の雇用」制度に対応している企業であれば、チェーンソーの使い方や安全講習などを段階的に学べる仕組みが整っている場合が多いです。企業のウェブサイトや求人ページに「未経験歓迎」とある場合でも、どのような支援があるのかを具体的にチェックしておきましょう。
⑤企業の将来性や地域との関わり方を見る
林業は、短期的な成果よりも長期的な取り組みが必要な仕事です。そのため、企業がどのようなビジョンを持っているのか、地域とどのように関わっているのかは、安心して働き続けるうえで非常に大切です。
例えば、「将来的に独立支援を行っている」「地域の森林計画に参画している」「カーボンニュートラルなど環境価値を重視している」といった企業は、長く地域に根ざして成長していく力があります。企業説明会や面接の際には、経営者の考えや中長期的な方向性を直接聞いてみるとよいでしょう。
林業への転職は、ライフスタイルの変化や、体力的な不安など、心配になることも多いかもしれません。しかし、それ以上に、自然とともに働くことの充実感や、社会的に意義ある仕事に携われる喜びを実感できる業界でもあります。
転職活動では、「どんな働き方がしたいのか」「どんな森に関わりたいのか」という自分なりの“軸”を持ち、その軸に合った企業を選ぶことが、長く林業を続けていくカギになります。
RINDOでは、林業転職アドバイザーにいつでも無料で相談が可能です。以下のLINEから気軽に相談してみてくださいね。
これからの林業と民間企業の役割
日本の林業は今、大きな転換期を迎えています。長らく課題とされてきた高齢化や担い手不足、手入れがされず放置された森林の増加に加え、近年では気候変動対策やカーボンニュートラルの実現に向けた動きの中で、「森林の価値」が改めて注目されるようになりました。こうした背景のもと、これまで国や自治体、森林組合が担ってきた役割に、民間企業が加わる意義はますます大きくなっています。
民間林業企業の存在が重要視される理由のひとつは、変化に柔軟に対応できる組織体であることです。ドローンやGIS(地理情報システム)などの新技術を導入した森林管理、ICTを活用した効率的な施業、林地残材の再資源化やバイオマス発電との連携など、これまでの林業の枠にとらわれない発想や実行力を持つ企業が、現場を変え始めています。また、林業の価値を木材生産に限らず、森林のもつ多面的機能、水資源の涵養、生物多様性の保全、災害リスクの軽減、さらには人々の癒しや学びの場としての活用にまで広げようとする取り組みも始まっています。
加えて、民間企業は“働き方の多様性”においても、大きな役割を果たしています。従来の林業では考えにくかった週休2日制や明確な等級制度、未経験者への手厚い研修、さらには女性や外国人、異業種出身者を積極的に受け入れる姿勢を持つ企業も増えており、林業における新たなキャリアパスを描ける環境が整いつつあります。
一方で、森林の手入れは今日始めて明日には結果が出るような仕事ではありません。苗を植え、50年、100年先を見据えて森を育てるという極めて長期的な営みです。だからこそ、持続可能なビジネスモデルと地域との信頼関係が必要であり、それを中長期的に担える存在として、民間企業の役割は今後ますます大きくなっていくことが予想されます。
まとめ
林業の世界は今、大きく変わろうとしています。特に民間林業企業は、先進的な技術の導入や働き方の柔軟性、多様な人材の受け入れを通じて、「山の仕事」をより開かれたフィールドに変えています。この記事では、林業事業体の基礎から、民間企業の特徴、具体的な企業事例、転職時のポイント、そして今後の民間林業企業の展望までを紹介してきました。
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